できた!地域の「車いすルートマップ」(神戸市立渚中学校)
実際に車いすで街を回ってみて、生徒たちは様々なことに気づきました(渚中学校提供)
神戸市立渚中学校・原田大(はじめ)先生
地域の「車椅子ルートマップ」を見ることができるポスターを作成し、公共施設や交通機関、商業施設など100か所に配布しました。
現在の3年生は、1年生の時からSDGsに取り組んできました。1年時は「知る」、2年時は「行動する」がテーマ。1年時の2月に参加したSDGs活動の発表会で、車いす利用者のIT企業社長・三木谷毅さんと知り合いました。
三木谷さんは、車いす利用者の立場から、自分が住んでいる地域を、違った視点で見つめ直すことを教えてくれました。緊急事態宣言のために活動しづらい時期もありましたが、11月には実際に三木谷さんに来校してもらい、お話を伺うことができました。本校は阪神・淡路大震災後に整備された再開発地区「HAT神戸」にあり、開校24年目の新しい学校です。実際に車いすで移動してみたことで、生徒たちは慣れ親しんだ通学路にも、小さな段差などがたくさんあることに驚いていました。
企業など、大人の力も借りながら12月に完成したマップは、ポスターのQRコードをスマートフォンなどで読み取れば、車いすの方だけでなく、ベビーカーを押す人や高齢者など、初めて地域を訪れる人のための推奨ルートを見ることができます。「一人一人の力は小さくても、集まれば大きな効果が生まれる」「お互いに伝え合うことで新しい知識が生まれ、一人ひとりの意識が変わってくる」。生徒たちは口々に感想を話してくれました。
3年生の目標は「つながる」こと。受験の年ではありますが、中学生だからできること、中学生にしかできないことは何かを生徒とともに考えながら、活動を続けていきたいと思います。
CHECK!ゲーム、いい動機付けに
ポスターは素晴らしいメッセージの発信になりました。このメッセージを見た様々な人々とのつながりを持つための第一歩です。この後は、自分たちの行動に執着することなく、同じ目的のために活動している人々を応援していくことも大事でしょう。ひとつひとつのメッセージが集まって大きなメッセージをつくる。SDGsに向かって着実に進んでいくことが期待できる実践です。
読売新聞東京本社 教育ネットワーク・アドバイザー 田中 孝宏