タイのジャスミン米を「バケツ稲」で栽培 ~ バンコク

 

セントアンドリュース インターナショナルスクール バンコク

 

 タイのお米「ジャスミン米」の栽培に校内で取り組んでいます。

 

 

 

 インターナショナルスクールである本校の小学校部では、50人ほどの日本人の子どもが日本語クラスで学んでいます。タイの東北部ロイエットにある稲作農家より分けてもらった種もみを使って「バケツ稲」で育て始めました。

 

 

 中心になったのは、私が日本語の授業を担当している子どもたちです。教室移動の合間に水をやったり、草取りをしたりと、自分たちにできる世話をするよう心がけてきました。稲の葉や茎から汁を吸う害虫や、害虫を食べて稲を守ってくれるカエルなどの「命」を知り、生物多様性について学んでいます。現地のガーデナーの人たちとも自然に交流しながら、子どもたちは栽培を楽しんでいます。

 

 

 活動は、「世界土壌デー」(World Soil Day)を意識したものです。タイの農業や土地改革に尽くした故・プミポン国王の誕生日「12月5日」を記念して2013年に定められた「世界土壌デー」に合わせて、世界中で様々な取り組みが行われています。タイで学ぶ子どもたちにも、活動の一部に参加をすることで、土壌についての知識やタイの文化についての理解を深めてもらいたいと考えています。

 

 

 タイ東北地方(イサーン)は、国内有数の米生産地で、「カーオ・ホーム・マリ」というジャスミン米が主に生産されています。タイは、熱帯の気候を利用した米の二期作・三期作が行われ、世界有数の米輸出国でもあります。本校では、2022年2月から栽培に取り組み、11月と23年4月の2回、収穫に成功しました。一方で、タイでは農作物の単価が安く、農家の貧困の原因にもなっているとも言われています。子どもたちに実際に栽培に関わってもらうことで、SDGsの目標1「貧困をなくそう」や目標2「飢餓をゼロに」などの問題を少しでも身近に感じてもらいたいと考えています。

 

 

 給食の食べ残しを養殖魚のエサにしてもらう取り組みを、校内の「環境週間」に合わせて発信しました。目標12「つくる責任つかう責任」を意識しています。「フードロス」というと、「食べ残しをしない」という点に意識が向きがちです。「食べ残しが『ゴミ』として捨てられるのではなく、『魚の生きる力』として生まれ変わり、地域社会の経済にも役立てられる」という意識の変化を校内に伝えたいと考えました。自分たちの食べ残しを活用して育てられた魚が、食用として売られていく、そんな仕組みに気づくことで、サーキュラーエコノミー(循環型経済)にも理解を深めてもらいたいと思っています。(森田清美先生)
 

 


(2023年8月14日 09:00)
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