2030 SDGsチャレンジ

地域も巻き込み古着回収(東京・杉並区立八成小学校)

近くの幼稚園や保育園にも足を運んで、古着回収への協力を呼びかけました

 

 東京都杉並区の八成小学校。新6年生は、5年生の時から、古着の回収や校内外の緑化などに取り組んできました。

 

 緊急事態宣言が出された1学期。分散登校の際などに、世の中で起きていることについて、自分たちの考えをまとめて話し合うことを続けてきました。学校が再開されてからも、17の目標について、それぞれが興味を持ったテーマについて発表し、自分たちができることを話し合いました。古着の回収、校内外の緑化、SDGsの他学年への周知など、様々な目標が子どもたちから挙がりました。

 

 2学期から活動が本格化する中で、子どもたちは、自分たちの力だけでは限界があることも知りました。古着の回収に取り組んだグループは、放課後に近くの保育園や幼稚園などに足を運び、協力を呼びかけました。「SDGsは2030年までに世界が達成しなければならない問題です」。松森康佑君は、自分で作った資料を見せながら、大人たちに訴えました。塾や習い事で参加できない仲間のために、他のグループの仲間が手伝いに来る、という流れも、自然に生まれました。

 

 自分たちの住むマンションに、ごみの分別を呼び掛けるチラシを貼ってもらったグループもいました。「回収日には、ここに並んだ10個のかごがいっぱいになるんだよ」。大きなかごを両手で抱えながら話す管理人さんの説明に、川端乃愛(のあ)さんたちは、目を丸くしました。少しでもごみを減らすことの大切さを、身をもって知りました。

 

 自分たちで作った「SDGsクイズ」などの資料を使って、休み時間に下級生のクラスを周って説明したり、自分たちで育てた植物を近所の家庭にも配ったり...。子どもたちは、周囲の大人たちを巻き込みながら、自分たちでもできることに思い思いに取り組んでいます。1年間を振り返る子どもたちの発表。それぞれが、興味を持つ問題についての解決法を考えました。色とりどりのアイコンが並んだ図の中心には、目標17「パートナーシップで問題を解決しよう」がしっかりと書かれています。「学んだことをもとに、自分たちで周囲を巻き込んで動いてくれたことがうれしい」。担任を務めた黒田真由美先生も満足そうです。最上級生になり、さらに活動を広げていく子どもたち。地球規模の問題を解決するために、学校を、地域を巻き込みながら頑張っています。

 

手作りの資料で協力を呼びかけました

 

CHECK!まわりの人々とつなげて

「SDGsの学習はどう進めたら良いでしょう」。17の目標などを学習した後、学校などで必ず言われる質問です。答えは、この学校の取り組みの中にあります。子どもたちが自分たちで課題を見つけ、解決しようとする行動に助言や支援をしていくことで、SDGsの学習は成り立っていきます。教員だけでは力が足りない時は、まわりの人々とつなげてあげてください。普段教室では見られない子どもの姿も見る子ができます。

読売新聞東京本社 教育ネットワーク・アドバイザー 田中 孝宏


(2021年4月27日 12:35)
TOP