【海プラ問題】高校生100人が初会合 〜半年間の研究スタート

 海洋プラスチック問題をテーマとした高校生の研究プログラム「海洋プラ問題を解決するのは君だ!」(特別協力=東京大学大気海洋研究所、読売新聞社)の初回会合が8月30日、オンライン上で開かれた。応募した高校生・高専生約290人から書類審査で選ばれた約100人に加え、メンター(指導役)の研究者ら約30人が参加した。

 

 高校生たちは月1〜2回ペースで研究会を重ね、来年2月に優秀チームが選出される。優秀チームは、横浜市で同月に開かれるSDGs関連の国際会議で成果を発表する予定だ。

 

 プログラムは、駒場東邦高等学校(東京・世田谷区)3年の楜澤(くるみさわ)哲さんら高校生から協力要請を受けた読売新聞社が東大大気海洋研究所に呼びかけ、開催が決まった。新型コロナウイルスの感染拡大を見据え、全課程をオンラインで行う。

 

 テーマは、プラスチック製品の(1)代替手段(2)リサイクル手法の最適化(3)海洋環境への影響削減----の三つ。参加者たちはテーマごとに混成グループをつくって現状分析し、高校生ならではの斬新な解決策を社会に提示する。生徒たちには、同研究所などの研究者などが問題解決に向けた思考法をアドバイスする。

 

 初回会合では冒頭、楜澤さんが「これまで出会ったことのない方々が全国各地から集まっているはず。その多様性を生かした研究をお願いします」とあいさつ。特別協力代表として東大大気海洋研究所の保坂直紀・特任教授が「それは格好いいから、やってみようと思える斬新なアイデアを期待している。半年間というのは短いから、急いで楽しくやっていこう」とエールを送った。

 

 協賛各社による応援スピーチのあと、東京大学の岩田忠久教授(高分子材料学)が基調講演した。岩田教授は、自然環境下で分解する「生分解性プラスチック」の開発が専門。プラスチックの種類や性質、国内でのプラスチック製品の生産量と廃棄量などをわかりやすく紹介した。

 

 その上で、植物を材料にした「バイオプラスチック」と、自然に分解していく「生分解性プラスチック」という言葉が一緒くたに使われ、「混乱が起きている」と指摘。「バイオプラスチック」の中には分解しにくいものがあるほか、「生分解性プラスチック」の中でも途中で分解が止まってしまうものが多いことを紹介。「マイクロプラスチック問題もあるので、すべて分解して二酸化炭素と水になって初めて、環境にやさしいプラスチックといえる」と、説明した。参加者たちは岩田教授に盛んに質問し、そのあとの自己紹介コーナーでも互いに笑顔で質問し合っていた。


(2020年9月 2日 00:39)
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