「2022年4月 18歳から大人に」 月刊ワークシート vol.10

1月9日読売新聞朝刊掲載「2022年4月 18歳から大人に」の解説ページです。「新聞@スクール 月刊ワークシート」は毎月初旬に連載中!


【質問】(3)成人年齢が引き下げられたことをどう思いますか。あなたはどんな大人になりたいですか。


もうすぐ成人の日ですね。総務省が、昨年の12月31日に発表した人口推計によると、平成31年(2019年)1月1日現在で20歳の新成人は、男性64万人、女性61万人、合計125万人だそうですよ。

 

そう、2年ぶりの増加だそうですね。今年は、1月14日(月)が成人の日になります。「成人の日」って、国民の祝日なのですが、法律ではどのように定められているか、アットス君は知っている?

 

もちろん。国民の祝日には、それぞれに意味があったんだなぁ。

 

そうなのです。「成人の日」の意味を、アットス君、教えてくれますか?

 

はい、まかせて。ちゃんと調べたから。法律では「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」日となっています。

 

アットス君の言う「法律」とは「国民の祝日に関する法律」です。その第1条には、このようなことが書いてありますよ。

 

「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを『国民の祝日』と名づける。」

 

第3条には「『国民の祝日』は、『休日』とする」とあります。

 

休みだぁ・・・って喜んでいるばかりだったけれど、ちゃんと休日にする意味があるってことなんだ。

 

それぞれの「国民の祝日」の意味を知っておいてもいいですね。祝日の意味について知りたいときは、>>内閣府のウェブサイトをみるといいですよ。(第2条に書いてあります)

 

さて、その成人年齢が、法律の改正によって、2022年4月から18歳になるのですね。なんと146年ぶりの民法改正ですから、新聞などでも話題になっていましたね。

 

2018年6月14日の読売新聞朝刊「18歳成人22年4月から」の記事に、「成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が13日成立・・・」とありました。いよいよ、決定したんだな・・・。

 

ところで、法律に「大人になったことを自覚し・・・」とある「大人」って、どういうことをいうのかなぁ。

 

大人とは、「社会で責任ある行動ができる」人だと言われます。一つの例をあげてみると、何かを約束したり、自分の考えを主張したりすることは子どもでもできることですが、約束を破ってしまったときや、自分の主張が批判されたときでも、しっかりと対応できるのが大人、だというのです。

 

そういう能力は、いったい、いつ頃から身につくものなんですか?

 

これにははっきりとした答えがないのですね。でも、昔の日本には、10代での「元服」という儀式があり、これを経て大人として扱ってきました。今の成人式につながる習わしとされているんですよ。

 

「成人年齢は20歳」と決まったのは明治時代の1876年でした。成人式を迎えると、大人としての自覚が出る、と考えている人も多いようです。

 

成人年齢が、選挙権をもつ18歳と同じになることにも意味があるんですよね。

 

若い世代での社会参画の機会が増えることで、社会が元気になることをねらっています。

 

とすると、いろいろな面で、若い人たちが意識を変えていかないといけないんですね。

 

そういうことです。金銭面の問題でも。ローンやクレジットカードを親の同意なしで組むことができるようになりますが、高等学校の先生にお聞きしてみると、生徒たちはお金に関する意識が低いとおっしゃるのです。

 

そこで、私も身近な高校生たちに聞いてみました。

・学校の授業料がいくらか知っている? ⇒回答「?」

・あなたが使っているスマートフォンの使用料金はいくら? ⇒回答「?」

やはり・・・正確には答えられませんでした。

 

紙面のインタビュー記事で、ロバート・キャンベルさんが「今の日本では、駅で電車を待っていても、高校生が政治や政策について語り合う様子を見かけることはありません」と言っているのが、印象に残っています。これで、日本の社会が元気になるのかなぁって。

 

アットス君の言葉を聞いて、同じ気持ちになりました。今回、若い人たちが、成人年齢が変わるということを知って、自分の生き方を考えるきっけにしてほしいな。若い人たちが生き生き活躍してくれると、皆が元気になるんです。若い力ってすごいのよ。

 

そうなんだ・・・。若者は責任重大。意識を変えるために、もっと社会のことを知らなければなりませんね。身の回りにある社会問題に目を向けることが大事なんだ。

 

そして世の中のことを知ったら、「なぜ?」「どうして?」とつっこむことが大事。今年の10月には消費税が10%に引き上げられる予定ですね。これって、なぜなの?

 

じゅんこ先生は、こうした問題の背景をしっかりと考えろ、と言いたいのでしょう?それには、新聞や本を読んだり、いろいろな人から話を聞いたりしながら、学んでいかなければならないなぁ。それが大人になる準備ですね。

 

そのとおり。「どんな社会にしたい?」って聞かれたら、自分の考えを堂々と言える人になってほしいなぁと思っています。

 

成人年齢引き下げをPRするため、法務省が、映画「覚悟はいいかそこの女子。」(配給・東映)とタイアップするポスターを作成したという記事が、2018年9月25日の読売新聞朝刊政治面にありました。じゅんこ先生、このポスター見ましたか?

 

法務省のウェブサイトでは見ました。ポスターには、「みんなも覚悟はいいか。18歳から新成人に! 2022年4月1日から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられます。(法務省)」と書いてありました。約22000枚のポスターを全国の中学・高校や法務局に配布したそうですよ。

 

さあ、みなさんは、どんな大人を目指しますか?

 

【参考記事】

■基礎からわかる18歳成人(2018年3月14日 読売・朝刊)

■18歳成人 反対56%(2018年4月25日 読売・朝刊)

■18歳成人式 (2018年4月25日 読売・朝刊)

■18歳成人「反対」56%(2018年5月11日 読売中高生新聞)

■18歳成人改正民法成立(2018年6月13日 読売・夕刊)

■18歳成人22年4月から(2018年6月14日 読売・朝刊)

■18歳成人 次の難題(2018年6月14日 読売・朝刊)

■「社説」18歳成人法成立(2018年6月14日 読売・朝刊)

■「18歳で大人」自覚と不安(2018年6月14日 読売・朝刊)

■18歳成人 お金の教育を(2018年6月14日 読売大阪・朝刊)

■「18歳で大人」社会元気に(2018年6月21日 読売KODOMO新聞)

■よみうり寸評(2018年8月10日 読売・夕刊)

■「18歳成人」控えリスク教育(2018年9月19日 読売・朝刊) 

■覚悟はいいか。「18歳成人」時代(2018年9月25日 読売・朝刊)

 

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(2019年1月 8日 18:00)
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