「全国高校ビブリオバトル2017」四国大会が7月29日、松山市の松山東雲女子大で開かれた。四国4県の18人が参加し、小説「鈴木ごっこ」(木下半太著、幻冬舎)を取り上げた高知中央高3年、大野美羽(みう)さん(17)が優勝した。大野さんは2018年1月28日に東京の早稲田大で開かれる決勝大会に出場する。大野さんは、「借金が原因で家族のふりをすることになった4人が、本当の家族のようになる過程や、その会話が面白い」と紹介。「幸せな結末に向かうと思ったら最後の7行で衝撃の展開が待っている。癖になり、何度も読み返してしまう」と力説した。優勝が決まると、「初参加ですごく緊張したので、結果には本当に驚いた。面白さが伝わったのならうれしい」と話した。
準優勝は、ナチス時代のドイツを舞台とした小説「神の棘(とげ)」(須賀しのぶ著)の魅力を語った徳島県立池田高3年の関口俊介さん(17)。関口さんは「大学でナチスの歴史を学んだ作家による力のこもった作品」と紹介。「命令で人を殺す立場の苦悩に考えさせられた。決して幸福とはいえない戦時中だが、人間の真の美しさが描かれ、希望や誠実さを感じさせる」と力説した。2年連続の出場で、昨年の優勝には届かなかったが、「あまり知られていない戦争の事実を伝えたかった。様々な発表も聞けて本当に楽しかった」と話した。
最多の13人が出場した愛媛県勢のうち、県立松山商業高3年の福島涼花さん(17)と県立松山南高1年の杉野悠生さん(16)が優秀賞を受賞した。福島さんは、「一冊でまるごとわかるギリシア神話」(吉田敦彦著)から「パンドラの箱」のエピソードを紹介し、「神々が欲望に率直で驚かされる。長く信じてこられた話を知ることは歴史を学ぶ以上に面白い」などと力説した。「たとえる技術」(せきしろ著)を取り上げた杉野さんは、「家を建てるために木材を切り出してから家具を搬入するまでの行程を示すように細かく、詳しく例え方や使用するタイミングを教えてくれる」と例えを交え、魅力を語った。
大会には約100人の聴衆が集まり、最も読みたいと思った本に投票した。
>>動画はこちら