楽しくNIE[13]会話がはずむ まわしよみ新聞 京都学園中学高校(京都府)

話し合いながら「まわしよみ新聞」の作品を仕上げる生徒たち(4月13日、京都学園中学高校で)

やあ、こんにちは。新聞活用学習・NIEのナビゲーター、ヤク先生だよ。きょうは、交流のなかった生徒たち同士が打ち解けるきっかけにと、新聞を使った実践「まわし読み新聞」を授業に採り入れている学校をのぞいてみたよ。新学期にうってつけの取り組みなんだって。


ヤクは、ユーラシア大陸の高地に生息する、ウシの仲間。NIEを通して、これからの社会を生き抜く上で"ヤク"立つ力が子どもたちにつくよう、ヤク先生が応援していきます。

 


 テーマを決めて記事選び発表し合う 

 「まわし読み新聞」は、同じ新聞を数人で読み、気になる新聞記事を発表し合って独自の新聞を作るっていう実践。これに「テーマを決める」という要素を採り入れているのが、京都・妙心寺の隣にある京都学園中学高校。プロ野球界で名をとどろかせる伝説のピッチャー、故・沢村栄治投手の出身校として有名な学校だよ。

気になった記事を切り取る生徒

 

 「情報は比べたら違う」こと説明 

 4月半ば、同校の図書室を訪れると、入学したばかりの中学1年生50人が、6班に分かれて「まわし読み新聞」に取り組もうとしているところだった。説明しているのは、国語科と図書館司書を受け持つ伊吹侑希子先生。新元号「令和」を伝える4月2日付の新聞一面各紙を例に、「情報は、同じように見えても比較したら違うことを知ってほしい」などと話しながら、異なる見出しや、載っている記事の違いに触れていたよ。

新元号「令和」を伝える新聞各紙について説明する伊吹先生

 

 隣の子と記事選びで盛り上がる 

 生徒たちは、くじ引きで政治・スポーツ・文化のいずれかのテーマを選定。その後、読売新聞など3社の新聞を開きながら、「これテレビで見たー!」「何、この変な名前?」などと隣の子と盛り上がりながら、テーマに沿った記事選びを開始。20分ほどたつと、大きな模造紙に各自が選んだ記事を並べ、中央にどんな見出しを入れるか議論し始めたよ。

寝そべりながら気楽に記事選びをする子も

 

 議論の末、できあがった作品たち 

 開始から1時間後、生徒たちは記事へのコメントも書き入れて、班ごとに前に出て作品を発表。短い時間にもかかわらず、「平成から令和へ」「平成の文化」「世界にはばたく日本」などの見出しがついた作品ができあがっていたよ。中には素敵なイラストを添えた班も。作品作りを終えた女子生徒の1人は「新聞を読むのって面白いと思った。しゃべったことのない子と話も盛り上がって楽しかった」と話していたよ。

「スポーツ」をテーマにした班がまとめた作品の一つ「世界にはばたく日本」

 

 新学期にうってつけ 

 伊吹先生によると、この「まわし読み新聞」は、同校が独自に行っている中学生向け探求型学習「地球学」の一環。図書館にある本の検索方法から始まって、データベースの使い方、調べた情報のまとめ方など、さまざまな情報の扱い方を学んで表現力を養ったり、メディア・リテラシー(情報を批判的に読み解く力)を身につけたりするんだって。「まわし読み新聞」も、新学期には恒例の実践で、クラスメートたちが打ち解けあうのに役立っているんだって。

議論しながら「まわし読み新聞」作りに取り組む生徒たち

伊吹侑希子先生

交流のなかった生徒同士が話し合うきっかけになる「まわし読み新聞」は、新学期にうってつけの取り組みです。新しい環境で不安な中学1年生が打ち解けあういい機会になっています。

友達ができたり、クラスが打ち解けあうのに役立つ「まわし読み新聞」、やってみない手はないんじゃないかな?


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(2019年4月25日 16:00)
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