順大学生たちが医療分野の外国人支援に一役

子どもたちはバランスよく食材を選びロールサンドを作った

 医療分野での外国人支援に一役買おうと、順天堂大学の学生たちが6月24日、埼玉県三芳町立藤久保公民館で外国につながりを持つ子どもとその親を対象にした栄養教室と健康相談を行った。この取り組みは、同大医学部の武田裕子教授の発案で、今年2月に続き、今回が2回目。NPO法人「街のひろば」の協力と三芳町が後援している。

 当日は、アジアや南米などの外国につながりを持つ同町在住の親子など27人が参加。同大医学部、医療看護学部、国際教養学部の教員・学生14人が、外国人支援の現場で求められる「やさしい日本語」を用いて、さまざまな背景を抱える親子とふれあった。

 

◆栄養教室を学生たちが企画

 学生たちは、子どもたちが「からだに良い食事」について学べるように栄養教室を企画。栄養バランスの良いロールサンドを作るため、食材の選び方から、手の洗い方まで子どもと一緒に行なった。汚れに見立てたクリームを手に付けたあとで手を洗い、洗いきれていない部分がないかブラックライトを当てて、確認。手の汚れが光ると、子どもたちからは驚きの声が上がった。今年2月の活動にも参加した同大国際教養学部3年の増田怜佳さんは「子どもたちが前回の栄養教室で学んだことをしっかり理解してくれていた。一生懸命に手洗いに取り組んでくれて嬉しかった」と話した。

 手を清潔にした後は、いよいよロールサンド作りがスタート。子どもたちは栄養バランスを考えて、ハムやチーズ、野菜など組み合わせを考えながら食材を選び、ロールパンへと詰めた。完成したロールサンドを食べた子どもたちからは「美味しい」という声とともに笑みがこぼれた。参加した同大大学院医療看護学研究科博士前期課程1年の大多和穂奈美さんは「生活習慣の違いや言葉の壁など様々な問題を抱える子どもや親には、集うことのできる場所を提供し、長期にわたって継続的に関わっていくことが必要だと感じた。地域にいるこうした親子に寄り添った支援ができる保健師になりたい」と思いを語った。

 

「からだに良い食事」について子どもたちに説明した

◆健康相談希望者への事前聞き取りに挑戦

 栄養教室と一緒に行った健康相談では、医師や医療通訳を目指す学生たちが、健康相談希望者一人ひとりに事前聞き取りを行い、武田教授による健康相談の場にも付き添った。

 日本語が十分に理解できないために正しい情報が得られず、困っていても相談できないという「言葉の壁」が健康格差の原因となっている中で、難しい言葉を言い換えるなどした「やさしい日本語」で語り掛けることに挑戦した学生たち。子どもたちへの事前聞き取りを担当した同大医学部3年生で小児科医志望の坪谷ひなのさんは、「厳しい状況のなかで、親の負担を減らそうと子どもたちが頑張っている様子が垣間見えた。子どもが元気でいられるように、お母さんやお父さんの不安にも気づき悩みを聴ける医師になりたい」と力を込めた。武田教授は「患者さんやご家族の抱える困難に思い至り、気づくことの大切さを教えていただいた。また、子どもたちに喜んで参加してもらって、学生たちは大きな励ましを得た。いずれも地域のなかだからこそ得られた学び。学部を超えた活動は将来のチーム医療にもつながる」と今回の活動の意義を話し、三芳町の協力に感謝した。

 

武田教授(右から2番目)による健康相談に学生(右端)が付き添った
(2017年8月 3日 10:12)
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