身近な砂浜について観察しよう~自然しらべ2015

砂浜の復活を訴える伏見康博さん。後方は土砂の搬入により元の姿を取り戻しつつある海岸

 身近な自然に目を向けて、自然の大切さを学ぶ市民参加型の環境教育プログラム「自然しらべ2015」(日本自然保護協会主催、読売新聞東京本社共催)が行われている。今年のテーマは「砂浜」で、浜辺の変化や砂浜に生きる貝、植物などを観察して砂浜の「健康診断」をしてもらうのが狙い。

 

 「砂浜の復活で、生命あふれる海岸に戻したい」。神奈川県茅ヶ崎市で、砂浜の保全活動を続けている伏見康博さん(60)は手ごたえをつかみながら、一層の取り組みの必要性を訴える。

 

 伏見さんは、加山雄三さんの映画をきっかけに、18歳からサーフィンを始め、現在はサーフショップを経営している。海とのつきあいが続く中で、茅ヶ崎の浜辺の砂が失われていくことに危機感を抱き、約25年前から、砂浜復活を目指す活動に取り組んでいる。

 

海岸が侵食された場所には、砂浜復活のため運び込まれた土砂が山積みになっている(神奈川県茅ヶ崎市で)

 この間、自然保護やサーファーなどの団体や専門家らと勉強を重ね、「浜では砂が減って困っているのに、川の上流のダムでは砂がたまって困っている」という状況を知る。波の流れを変えてしまうヘッドランド(人工突堤)建設から、より自然な方法での砂浜保全に見直しを求めるなど、県の保全事業にも関わってきた。それと同時に、ハマヒルガオが咲き広がり、アカウミガメが産卵に来ていたかつての広くて安全な砂浜復活を象徴的な目標に据え、仲間と砂浜復活を訴えてきた。

 

 こうした活動もあって、ダムの堆砂対策と養浜(砂浜の造成)対策が「連動」する形での県の保全事業が実現。2006年から昨年まで、相模川上流のダムに堆積していた砂をさらうなどして、年間3万立方メートル分を茅ヶ崎海岸中央部の中海岸に運び込んだ。場所によっては砂浜の幅が10~20メートル広がったという。

 

 日本の海岸線は総延長2万9000キロ・メートルで世界6位。砂浜にすむバクテリアによる海水の浄化作用や、波と砂浜による地球温暖化抑制の働きなど、沿岸の生態系は多くの恩恵をもたらす。伏見さんは「身近な砂浜がどうなっているのか、関心をもってほしい。砂浜を守るため、山の砂が川の流れに運ばれて海岸へ、というシステムの構築が必要だ。茅ヶ崎海岸での取り組みも全国の参考になるのではないか」と話している。


(教育ネットワーク事務局 五味稔典)
 

参加方法

(1)調査票付きビンゴシート(参加マニュアル)を日本自然保護協会(03・3553・4103)から郵送してもらうか、ホームページ(http://www.nacsj.or.jp/)からダウンロードする。
(2)貝や植物などを見つけた日や場所、氏名などを調査票に記入し、発見場所と貝や植物などを撮影した写真とともに協会「自然しらべ」係まで郵送するか、メールで送る。8月31日締め切り。
 参加者には、抽選で学研の図鑑などをプレゼントする。問い合わせは協会へ。

※2015年度は終了しました

 

【主催】日本自然保護協会(NACS―J)

【共催】読売新聞東京本社

【協賛】JR西日本、サニクリーン、カロラータ

【協力】モンベル、ニコン、ガルヴィ、このは、学研グループなど

【誌面協賛】日経サイエンスなど

【活動助成】東京ガス環境おうえん基金

【後援】環境省、文部科学省

(2015年8月25日 10:00)
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