「東京2020支えるボランティア」 月刊ワークシート vol.7

10月3日読売新聞朝刊掲載「東京2020支えるボランティア」の解説ページです。「新聞@スクール月刊ワークシート」は毎月初旬に連載中!


【質問】(3)どんな人に参加してもらいたいと思ってボランティアを募集していますか。


 2020年東京五輪・パラリンピックの成功のカギを握る「大会ボランティア」や「都市ボランティア」を知るとともに、広く「ボランティア」について考えてみましよう。

 

いよいよ、9月26日から、大会で活動するボランティアの募集が始まりましたね。12月上旬までの受付ですね。

 

募集するのは、組織委員会が募集し、運営に携わる「大会ボランティア」8万人と、東京都が募集し、空港や都内主要駅で案内などを行う「都市ボランティア」2万人。2019年ラグビー・ワールドカップ(W杯)などで経験を積んだ1万人も都市ボランティアとして活動する予定だそうです。

 

約11万人のボランティアですね。ロンドン大会や、リオデジャネイロ大会に比べて多いですね。

 

人々の心に深く残る歴史的な大会とするためには、オールジャパンで大会を盛り上げることが重要と考えられているのです。大会のコンセプトに「多様性と調和」とあるように、東京2020大会では、年齢、性別、国籍、障がいの有無等に関わらず、さまざまな方に大会成功の担い手になってほしいとしています。

 

ウェブサイト「東京2020大会ボランティア」に、「大会ボランティア」の応募のリーフレットがありました。そこでは、応募条件として、次の2つに当てはまる方となっていました。

(1)2002年4月1日以前に生まれた方

(2)活動期間中において、日本国籍又は日本に滞在する在留資格を有する方

外国人も、障がいのある人もボランティアができるということですね。

 

東京都が募集している「都市ボランティア」募集要項をみると、次のように書いてありました。

(1)2002年4月1日以前に生まれた方

(2)日本国籍を有する方又は日本に居住する資格を有する方

(3)日本語による簡単な会話(意思疎通)ができる方

これらの募集要項には、「積極的に応募していただきたい方」の項目があります。 

 

 「大会ボランティア」は

(1)東京2020大会の大会ボランティアとして活動したいという熱意を持っている方

(2)お互いを思いやる心を持ち、チームとして活動したい方

(3)オリンピック・パラリンピック競技に関する基本的な知識がある方

(4)スポーツボランティアをはじめとするボランティア経験がある方

(5)英語、その他言語及び手話のスキルを活かしたい方

以上の5つが書いてありました。「熱意」「思いやり」「チームワーク」が大事なんですね。

 

「都市ボランティア」では、「大会ボランティア」の(1)(2)に加えて

〇ボランティア経験のある方

〇東京の観光、交通案内等に関する知識やスキル・経験を活かしたい方

〇防災・防犯・救命救急等に関する知識を活かしたい方

〇英語やその他言語及び手話等のスキルを活かしたい方

とありますよ。

 

ところで、今では当たり前のように、いろいろな場面での「ボランティア参加」って言うけれど、そもそも、オリンピック・パラリンピックで、ボランティアを募集し始めたのはいつからなんですか。

 

1948年の第14回ロンドン大会から、一般ボランティアの募集が始まったそうですよ。

 

そんなに早い頃からなんだ!歴史があるってことですね。

 

2000年のシドニー大会から、外国人ボランティア参加が始まり、2004年のアテネ大会では、約45000人(4分の1の約1200人以上が開催国ギリシャ以外の国からのボランティアでした)、そして2012年ロンドン大会では約78000人、2016年リオ大会は約57700人が参加したそうです。

 

オリンピック・パラリンピックではボランティアは欠かせない存在になったのですね。

 

ロンドン大会でのボランティアの名称は「ゲームズメーカー」(大会をつくる人)。大会をつくっていく重要なポジションであると言っているから、どれだけ大切な存在かわかります。

 

ちなみに、リオ大会では、最初は「ヒーローズヒーロー」で、あとで「ボランティア」という名称になったんだそうですよ。

 

ロンドン大会では、約8000人の都市ボランティアを「ロンドン・アンバサダー」と呼んだそうですよ。リオ大会では「シティ・ホスト」と呼びました。なかなかステキな呼び方だと思いませんか?東京大会では、どのように名付けられるのかな。楽しみ、楽しみ。

 

 


【質問】(4)2020東京五輪・パラリンピックで、あなたができること、やってみたいことがあるか、考えてみよう。


 

ボランティアの気持ちを育てるって、「五輪・パラリンピック教育」の柱の一つなんだそうですね。

 

そのとおり。アットス君、よく知っているね。今年の8月16日から29日まで、読売新聞「教育ルネサンス」のコーナーで「五輪・パラリンピック教育」のシリーズが6回載っていたけれど、アットス君は読んでいたのね。

 

もちろん、読みましたよ。毎日、新聞は読んでいるし、スクラップもしまたよ。

 

そこには、「五輪・パラリンピック教育」での活動は、選手との交流にとどまらない、とし、地域と学校が協力した防災訓練をし、炊き出しや避難訓練を通じてボランティア精神を学ぶという内容も含むと書いてありますよ。

 

つまり、実際に選手や五輪・パラリンピックのときにボランティアをすることに限っているわけではないということですね

 

そうなのです。実は、小中学生の皆さんのほとんどは、今回のボランティアには応募できないのですね。2020年4月1日時点で18歳以上であることが条件なのです。スポーツ庁は、「学生のオリンピック・パラリンピク競技に係るボランティア活動等への参加に当たっての教育上の配慮について」(平成28年4月21日通知)を出しています。大学生の活躍も期待しているんです。

 

でも、オールジャパンで取り組もうというスローガンがあるのは、大会に向けて、いろんなボランティアがあるから、みんなで一緒に取り組みましょう、と言っているのですね。今、自分にできるボランティアを考えてみませんか?ってね。

 

新聞の連載には、いろいろな学校や地域で取り組んでいる「ボランティア活動」の様子も紹介されていたけれど、アットス君が印象に残っているものはありますか。

 

印象に残っているのは、東京の足立区立千寿桜堤中学校が行った「勝手に応援プロジェクト」です。

 

簡単に紹介してくれますか?

 

2016年のリオデジャネイロ五輪のとき、生徒会が立ち上がったんです。「だれでもできることって、なんだろう?」って考えたら浮んできたボランティアなんだそうです。

 

重量挙げの三宅宏実選手を応援しようと企画して、三宅選手の親族に講演をしてもらったり、全校生徒で千羽鶴を折って、許可をとって、メッセージとともに送ったというものです。卒業式には「みんなの後押しでバーベルを挙げられた」という手紙が届いたんだって。

 

この「誰かの役にたった」という経験から、地震などの被災地支援にも生徒たちが進んで取り組んでいると、校長先生が話していました。ボランティアって「誰かの役に立った」という喜びの体験なんですね。

 

五輪・パラリンピックに関係するボランティアには、案内や清掃活動もあります。それ以外でも、いろいろな形で、「誰かの役に立つ」ことがたくさんありそうですね。アットス君は、何をやってみたい?

 

住んでいるまちのウェブサイトを見ていたら、小中学生に是非、というボランティア募集がいろいろありました。まず、そこから始めてみようかな。

 

【参考記事】

●ボランティア学生に照準(2018年8月4日 読売・夕刊)

●教育ルネサンス「五輪・パラリンピック教育 1~6」(2018年8月16日・17日・18日・23日・25日・29日 読売・朝刊)

●五輪 支える力(2018年9月2日 読売・朝刊)

●ボランティア 自覚と誇り《2020への教訓・下》(2018年9月6日 読売・朝刊)

●復興の五輪 前面に(2018年9月13日 読売・朝刊)

●先読み TOKYO2020「8万人 大舞台の屋台骨」(2018年9月18日 読売・朝刊)

●五輪ボランティア プリカ1000円支給(2018年9月19 読売・朝刊)

 

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(2018年10月 2日 17:03)
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