新型コロナウイルスの感染拡大により、政府が全国に緊急事態宣言を発令して半月あまり。一部の大学ではオンライン授業が始まりました。大学も、私たち学生も手探りのまま始まったオンライン授業。対面による授業の再開が見通せない中での動きに、戸惑うことばかりです。
全学生に一律5万円
「学生に一律5万円を支給」。私の通う明治学院大学が4月21日に発表したニュースは、多くの大学生に驚きをもって迎えられました。緊急事態宣言は全国に広がり、各大学では、授業開始の延期と、オンライン授業への切り替えを学生に伝えていました。キャンスコメンバーの間でも「コミュニケーションがうまく取れるか心配。回線がパンクしないか...」「今のパソコンでは機能面で不安。新しく買わないと」「在宅勤務の増加でパソコン用カメラは売り切れ。授業開始日に間に合うか分からない...」など、不安の声が多く上がっていました。
署名活動、3日で2000人
明治学院大学4年の金勇利さんは、大学施設が閉鎖されている現状を受けて、4月16日から、学費の一部免除を求める署名活動を始めました。アルバイトで学費の支払いや生計を立てていた友人も多く、コロナウイルス問題によって、大きな打撃を受けていました。署名活動開始から3日目の4月19日には、早くも目標の2000人の賛同を達成しました。4月24日にオンラインでインタビューに答えてくれた金さんは、「学生同士に明治学院大学の教育理念 " Do for Others(他者への貢献)" の精神が根付いていたのだと思う」と手ごたえを感じています。今回の支給について、大学からは、私たち学生に対して、「オンライン授業に向けた環境整備のため」という説明がありました。署名活動が直接結びついたわけではありませんが、金さんも「求めていた学費一部免除ではないが、迅速な対応はありがたい」と評価しています。今後も、教員と学生にオンライン授業に対するアンケートを実施していきたいと言います。金さんも、支給予定の5万円で「自室のWi-Fi環境を整備する」そうです。
自分たちで声を上げる
4月20日に、録画された動画を視聴する形で行われた授業。「WELCOME BACK」(お帰り!)の文字に、久々に教室に戻って来たような気持になれた |
キャンパススコープでは、これまでも大学生が置かれた状況を、私たちの言葉で伝えてきました。今回、誰もが目の前のことにどう対応していくかで手いっぱいの中で、自らの意思で周囲を巻き込みながら活動した金さんのような仲間の存在を知り、とても心強く思いました。新型コロナウイルスに感染拡大により、私たちの大学生活は、例年通り送れないことが多いと思います。しかし、学生から積極的に声を上げ自分たちで状況を変えていく、という気持ちを忘れずに、これからも生活していくことが大切なのかもしれません。
(明治学院大学・丹伊田杏花)
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