オンライン授業 顔見せてる?【新型コロナ 学生リポート】(16)

突然カメラをオンにしても大丈夫なように、「よそ行き」の服で臨むメンバーも

 新型コロナウイルス禍で始まったオンライン授業。多くの大学で本格化して1か月が過ぎました。当初は戸惑いもありましたが、「ギリギリまで寝ていられるので、1限が苦ではなくなった」と評価する声も聞かれます。自分の部屋で、リラックスして受けられるのが特徴のオンライン授業。そこで質問ですが、皆さん、自分の顔、見せていますか??

 

外出しないのによそ行きの服

 

 「大人数での授業が中心なので、まったく顔を見せる機会はない」とあるメンバーは話します。大教室で行われるような数百人規模での授業も含めて、急きょ始まったオンライン授業。「通信環境を安定させるためにも、動画をオフにしてほしい」と説明されることが多いようです。一方、教授によっては授業中に突然「顔を見せませんか」と提案することもあるといい、ある女子メンバーは「オンライン授業がある日は、一応よそ行きの服を着て、髪を整えて、メイクもして...」と時間をかけて身支度しているそうです。「顔を出すなら、事前に連絡してくれればいいのだけど...」と話していました。別のメンバーは、うっかり「オンライン飲み会」の時の背景を消さないままカメラをオンにしてしまったのだとか。教授から「面白い背景していますね」とツッコまれてしまい、恥ずかしい思いをしたそうです。

 

「すっぴん」を見せるなら...

 

 「お互いに顔が見えてコミュニケーションがとりやすい」という理由で多くのメンバーが「顔を見せている」と答えたのは、ディスカッションが必要なゼミや、語学などの少人数での授業です。あるメンバーは、「みんなの顔を覚えたいから、という理由で教授が推奨している」といいますが、友人の女子学生は、「すっぴんを見せるぐらいなら授業から抜けたい」と話しているそうです。中には、「PCの調子が悪くてビデオがオンにならない」と嘘をついている友人もいたそうです。別のメンバーも、「指示がなければ100%、顔は見せない」と話します。女子学生を中心に、顔を見せること自体に抵抗感を感じる声が多く聞かれました。

 一方、「通信環境が平等でない」、プライバシーに配慮している」などの理由で、「大学から全面的にビデオオフを指示されている」というケースや、「録画しているので、顔を出さなくていい、という指示がある」という例もありました。後日の配信を行う大学もあり、プライバシーに配慮した形にせざるを得ないようです。一口にオンライン授業といっても、大学や、教授によって、対応に大きく差があると感じました。

筆者が受けている授業も、ほとんどは教員だけが顔を見せて進められる

コミュニケーション、足りてる?

 

 あるメンバーは「いいね!やチャット機能で十分にコミュニケーションは可能」と話します。一方で、「普段から相手の表情や反応に合わせて、無意識に話し方を変えている部分もあるはず。チャットは文章なので、やはり気を使う部分も大きい」と指摘するメンバーもいます。ただでさえ人と会うことが減っている自粛生活。知らず知らずのうちに、コミュニケーションに影響が出ていないとは言い切れません。あるメンバーが参加している授業には、「生存確認タイム」なるものがあります。数分間だけ全員カメラをオンにする時間ですが、顔を見せたくない人は、ぬいぐるみを代わりにしたりお面などをつけたりしてもよいのだそうです。「表情が見えないまま授業をするのは、先生も寂しいのでは」という学生からの提案で始まったそうです。実際「できれば顔を見ながら話したいが、強制はできないので難しい」と話す教授もいて、コミュニケーションの難しさを感じています。

 緊急事態宣言が解除され、少しずつ「日常」を取り戻そうとしている日本。私たち学生も、どうすればより良いコミュニケーションができるのか、一緒に考えていくべきではないでしょうか。

(國學院大學・石井あいみ)


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(2020年5月27日 15:20)
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