オンラインなのに学級崩壊?【新型コロナ 学生リポート】(17)

一日中パソコンとにらめっこのオンライン授業でも、課題に備えてメモは欠かせない

 新型コロナウイルスの影響で自粛生活が続く中、多くの大学で行われているオンライン授業。「zoom爆弾」や「なりすまし」など、セキュリティに関する課題に注意がいきがちですが、それ以外にもいくつかの問題点が浮かび上がってきました。

 

やまぬハウリング・回線トラブルも

 

 「当初は、学生側がマイクをオフにする方法が浸透せず、ハウリングや別の学生が口ずさむ鼻歌などが鳴りやまず、耐えがたい状態だった」と、あるメンバーは振り返ります。別のメンバーも、「知人の受けている授業を覗いたら、上半身裸の男子学生が映っていた。まさに学級崩壊」と苦笑い。「大人数で淡々と進めるタイプの教授に起こりがち。教える側にも工夫が求められているのではないか」と指摘しています。

 通信不良などによるトラブルも、日常的に生じているようです。あるメンバーは「回線が不安定で、授業の資料はおろか、話の内容も理解できなかったことがよくある」と話します。「zoomの招待URLやパスワードが送られてこず、友人も含め、授業に参加できなかったことがあった」と話すメンバーもいます。大学側に問い合わせても、返事が無いそうです。他にも、90分授業が教授側のライセンスの不備で、zoomの無料時間いっぱいとなる40分で終わってしまったケースや、「教授が授業に入れなかった」という笑えないケースも。各大学が設けるポータルサイトにアクセスが集中し、サーバーがダウンしてしまった、というトラブルもよくあります。

 

授業のためにスマホ依存?

 

 授業の進め方も依然として手探りです。あるメンバーが受けている英語のリーディング(長文)の授業では、チャット機能を使った授業が行われています。英文の和訳をしたものを学生が書き込み、教授がそれを見ながら解説する、ということを繰り返して進めていますが、「チャットはタイムラグが大きいので、受けにくくて仕方がない」と話します。

 アクセス過多を防ぐため、オンデマンド授業を採用する教授も多くいます。顔が見えない分、習熟度や授業態度を確認するために、毎週のようにリアクションペーパーを課す教授も少なくありません。一つ一つは軽い課題でも、複数が重なると大変です。「合計すると週に8000字以上のレポートを書いている」というメンバーも。通学時間が無くなり、自由な時間に受講できる点など、プラスの点もありますが、まだまだ課題は山積のようです。

 あるメンバーは「資料の『丸投げ』に近い授業も多い」と指摘します。小テストも、語学ではないのに英文資料の和訳をそのまま出すものや、配布資料を見れば答えが分かってしまうものまであるのだとか。一方で、課題や資料はそれぞれの授業が不定期更新なので逐一情報を追わなくてはいけません。「このままではスマホ依存になってしまう」とうんざりした様子。別のメンバーも、パソコンを見る時間が格段に増え、目の疲れや肩こりからくる頭痛に悩まされています。「目を休めないとなかなか治らないので、授業が連続してあるときは頭痛薬を飲むこともある」と話していました。

 日本全国で緊急事態宣言が解除されましたが、多くの大学では前期をオンライン授業のみとすることを決定しています。通いなれたキャンパスで、当たり前のように授業を受けられる日々が一日も早く戻ってくれることを願ってやみません。

(日本大学・中尾清香)


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(2020年5月28日 15:00)
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