ゴールデンウィーク前後から、多くの大学で手探りのオンライン授業が始まりました。私の通う法政大学でも4月21日から本格的に授業を開始。また、学生への給付金やオンライン環境整備などの支援も整ってきたように思います。しかし、様々な条件が重なり、支援の「狭間」に取り残された留学生がいます。一時帰国した韓国でオンライン授業を受ける留学生に話を聞きました。
韓国に一時帰国、再入国できず
「住むことができない家の家賃が負担...」。私の友人の女子留学生(3年)はこう嘆きます。昨年度の試験が終わった1月末に韓国の実家に帰省。3月30日に再び日本へ戻る予定でした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で、日本は入国規制を発表。日本へ戻るための飛行機が欠航となったため再入国ができず、現在は韓国の実家でオンライン授業を受けています。韓国国内の状況が落ち着いたため再来日も検討しましたが、両親からの反対に加えて、入国後の自主隔離の費用などを考えると二の足を踏んでしまいます。
日本では、大学近くのアパートを借りていて、現在も契約が続いています。毎月の家賃に加え、ガス代や水道代などの公共料金など、月に4万5000円ほどの支払いが今も続いています。「日本を離れてもう5か月。状況が落ち着けば、戻ってきたいけど、いつになるのか」と話しています。
日本では「1人10万円」の給付金が発表されましたが、自治体からの申請書類も受け取れず、マイナンバーカードを持っていないため、オンラインでの申請もできません。韓国にも、大学生支援のための奨学金制度があるそうですが、韓国国内の大学に通っていることが条件のため、こちらも難しいそうです。先日、彼女が通う大学からは、親の家計が急変したり、アルバイト収入が激減した学生に向けた緊急支援奨学金が発表されましたが、彼女は対象ではないそうです。大学の担当者によると、同じような悩みを抱えている留学生もおり、問い合わせが寄せられているそうです。
学業・就活 「第二波」におびえながら
就職活動も大きな悩みです。彼女は、もともと日本での就職を考えていました。通常であれば3年生のこの夏からインターンシップなども本格化するため、彼女も私たちのように、業界研究をしたり、企業選びを考えたり、という予定でした。ところが、ネットで様々な情報を調べても、「口コミ」が錯綜するばかり。不安だけが広がっていきます。
緊急事態宣言が解除された日本では、「日常」を取り戻すための活動が始まりました。一方、一度は感染拡大が収まったと言われていた韓国では、再び感染者の増加が報じられています。私たち自身も「第二波」を意識しながらの学業・就活など先の見えない状況が続いています。まずはこのまま、日本の感染拡大が収束してくれることを願うばかりです。
(法政大学・鈴鹿希英)
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