新型コロナウイルスの流行により、ほとんどの大学では、前期はオンライン授業となりました。キャンスコメンバーの多くが「やりづらい」と話すのはグループワークです。ディスカッションしたり、結論をまとめたり、と対面でも苦手意識を感じることのあるグループワーク。みんな、オンラインで、どうやってるの?
黒塗りの画面見つめ、「譲り合い」
私の通う大学では、オンライン授業にはZoomを使っています。グループワークの際は、ブレイクアウトルームセッションという、グループに振り分けられますが、5人未満などの少人数の場合は、重苦しい雰囲気が漂います。「全員が意見を言わなければ話が進まない」という義務感のようなものがあるのです。
「黒塗りの画面が並び、誰かが声をあげないと話し合いが始まらない」。あるメンバーは話します。なるべく最初の一声を発するように心がけているそうですが、「返事が返ってくるのか不安もあり、勇気がいる」。意見を言うときも、「いいですか」と確認の一言が欠かせません。他の学生と発言が重なれば、「どうぞ」「どうぞ」と譲り合いも。議論が盛り上がれば、不自由さも忘れるそうですが、「表情が見えず、相手に伝わっているのかどうかも分からない」。グループワークが終わると、いつもぐったりしてしまいます。
「魔のブレイクアウトセッション」
「魔のブレイクアウトセッション」。あるメンバーは、グループワークをこう表現しました。グループに分かれた後にも、マイクオフ、カメラオフを続ける学生もいるそうです。3人しかいないグループで、話しかけても誰からも返事がなく、途方に暮れたこともあるのだとか。「先生の目が届かない瞬間が多く、face to faceの授業ではない弊害を感じる」と話します。
通信環境の違いで、タイムラグもしょっちゅうです。「発言が重なったら嫌だから、後にしよう」と、ついつい消極的になってしまうこともあるのか、なかなか話が弾みません。PCによって相手に伝わる声の大きさもバラバラ。そんな中で、「まとめ役」になってしまったら、発言量のバランスを気にしながら全員に話を振らなければならないというストレスも重なります。「人に会うことが減ったせいか、相手の反論にトゲがあるように感じてしまい、過剰に反応してしまうことがある」と話すメンバーもいます。休み時間のおしゃべりなどのコミュニケーションが無くなったことに加え、表情や相槌などの仕草で通じていたメッセージが伝わらないことも、やりづらさの理由なのかもしれません。
言葉以外で伝わるもの
「人間は、表情や声以外からも多くのメッセージを受け取っている」。日本女子大学の遠藤知巳教授(社会学)は指摘します。「小さな身体の動きも、大きな意味を持っており、オンラインではそれが伝わりづらい。顔を見せることでスムーズにいく場合もあるが、オフラインと同じようにはいかないだろう」と話しています。スマホの普及で、普段から顔を合わせて話すことが減っている私たち大学生。オンライン授業の日々では、いっそう気を付ける必要があります。緊急事態宣言は解除されましたが、学びの上では、まだまだ苦労が絶えない日々が続きます。
(昭和女子大学・堀木千広)
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