「何年生なの?」アルバイト先の飲食店でこう聞かれると、つい「(高校)3年生です」と答えそうになります。大学生になって、はや3カ月。入学式も、新入生歓迎会も中止になり、キャンパスに足を踏み入れることすらできない私たち1年生には、まだまだ自分が大学生だという自覚がありません。毎日パソコンに向かっては、黙々とオンライン授業と課題をこなす日々。コロナウイルスの影響で、思い描いていたキャンパスライフとはかけ離れた日々を送る大学1年生は、どんなことを考えているのでしょうか?
#課題終わらない
毎週のように2000字以上のレポートに追われ、やっても、やっても、課題は増えるばかり。全く終わりが見えません。「大学生になったら、好きな読書に使える時間が増えると思っていたのに」とあるメンバーは、うんざりとした様子。また、「PCに向かって一方通行の授業。フィードバックもない。復習しようとしても、大量の課題で、その時間もない」と憤るメンバーもいました。
「去年はこんなにきつくなかった」と先輩たちは口をそろえますが、私たち1年生にとっては、今の課題が大学生活のすべて。キャンパスでの「対面授業」も、まったく想像がつきません。緊急事態宣言は解除されましたが、「秋学期もオンライン」という決定も、いくつかの大学から発表されています。いつになったら、趣味の時間を作ることができるのでしょうか。
サークルにも入れない
大学生と言えばサークル活動。本来ならサークルの仲間と仲良くなって、一緒にランチに行ったり、遊びに行ったり、と楽しんでいるはずですが、周囲には「サークルが決まっていない」という友人も多くいます。新入生歓迎会(新歓)が中止されたために、サークルの情報収集もSNSが中心。「SNSだけだと、実際の雰囲気がわからない」とあるメンバーは指摘します。多くのサークルでは「オンライン飲み会」などの新歓を行っていますが、「先輩からの質問に答えていくだけの形で、1年生同士でコミュニケーションをとれなかった」と嘆きます。迷っているときに、同学年と相談ができないと、どうしても参加をためらってしまいます。幸い、そのサークルでは、先輩が1年生同士でのオンライン交流会を企画してくれました。活動が制限されている中、上級生もいろいろと気を遣ってくれているようです。
大学に行けない中で、メンバーたちはTwitterで「#春から○○大学」のハッシュタグを使って、同じ大学の友達を探しています。同じ学科の人たちとLINEグループを作って交流を深め、「一緒に遊びに行った」というメンバーもいました。実際に会わなくても交流できるのがSNS。上手に使えばこのような状況では便利なツールですが、大学生に「なりすます」アカウントもあり、私の周りでも、それに気づかずにLINEグループに入れてしまったという事件が起こりました。「当たり前」が当たり前で無くなったコロナ禍の日常。「新しい日常」のコミュニケーションの形は、まだ手探りです。
毎日オンライン授業を受けている私の部屋には、大学で使う予定だったものが無造作に置かれています。新しく購入したペンケース、ファイル、靴やバッグ、入学式で着るはずだったスーツ...。私たちはいつ、憧れのキャンパスに行くことができるのでしょうか。友達や先輩、教授たちに実際に会える日を待ち望みながら、目の前のPCを埋め尽くす「課題の山」と、きょうも私は戦っています。
(法政大学・芹澤琴音)
期末レポートの予定で埋め尽くされた手帳。課題の山で「休む」暇もない |
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