「同窓会で会おうね」幻に...【新型コロナ 学生リポート】(28)

幹事から届いた同窓会延期のお知らせ

 間もなく1年が経とうとしているコロナ禍の生活は、私たちの大学生活に大きな影を落としています。まともに大学に通うこともなく1年が終わろうとしている1年生、手探りのサークル運営を続ける3年生。成人式を巡る一連の騒動は、その一つの断面に過ぎないのかもしれません。(流通経済大学 石井美帆)

 

5年ぶりの再会が

 

 2016年に行われた中学校の卒業式。私は同級生や先生と、「同窓会で会おうね」と約束して別れました。それから5年。コロナ禍の11月に、成人式に合わせた「同窓会開催のお知らせ」が届きました。私はアルバムを見たり、同窓会用の服を新調したりしながら、再会を楽しみにしていました。同窓会は、様々な困難に見舞われた5年をリセットしてくれる機会になるはずでした。しかし、昨年末、LINEに届いたのは「同窓会延期のお知らせ」。続いて成人式の延期も発表され、希望に満ちた新年は、暗いスタートになってしまいました。

 

 「クラスターになっても困るし、仕方がない」。キャンパススコープのメンバーの一人は、2月に予定していた従兄弟の結婚式が延期になりました。「新郎新婦の無念は察するに余りある」と話しますが、親族間でも実施を巡っては、ギリギリまで意見が割れていたのだそうです。「親戚みんなでお祝いする場が、もめ事の種になってしまうなんて悲しい」と話してくれました。所属するアカペラサークルでは2月に舞台での公演を予定していましたが、こちらも中止が濃厚。運営を担当する上級生は対応に追われているそうです。

 

メンバーに届いた結婚式の招待状。十分対策をしていたのに延期になってしまった

 

「成人とは」考える機会に

 

 入学式や卒業式、そして成人式。コロナは、私たちの「一生に一度」のイベントの数々を奪っていきました。日々増え続ける感染者数や重症者数を思えば、中止や延期は仕方がないのかもしれません。ある男子メンバーは「もともと成人式に行くつもりはなかった」と話します。「親しい友人とは会おうと思えば会えるし、今はその時期ではないと思う」と話してくれました。

 

 「荒れる成人式」などと言われ、近年では参加者の行動が問題になることが多かった成人式。2年前に参加したというメンバーは「式自体は退屈で、同窓会しか楽しみはなかった」と振り返ります。「不要不急」がキーワードとなったコロナ禍の生活。成人式も「不要不急」と言えばそうなのかもしれません。来年に成人式を控える1年生のメンバーは「コロナ禍での新成人の思いを語り継ぎ、みんなが納得できる形での成人式を行えるよう、もう少しみんなで議論する時間が必要だったのではないか」と指摘します。一日も早い収束を祈りながら、私たち一人ひとりが考えていくことが必要だと思います。

 

同窓会のために新調した服。いつ着ることができるのだろうか

 


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(2021年2月 1日 15:10)
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