ボランティア 街頭からエール【新型コロナ 学生リポート】(29)

 新型コロナウイルスの感染拡大で、学生ボランティア団体の多くはこの1年、活動の自粛を余儀なくされた。支援が必要な現場に出向くのが難しくなったためだが、「遠くからでもエールは送れる」と、街頭募金などを始めた団体もある。(法政大学2年・戸根川さくら)

 

現地に行けず!

 

 NPO法人「国際ボランティア学生協会(イビューサ)」(本部・東京)は、災害支援、教育支援、環境保全などのボランティアを行う学生団体で、メンバーは、全国90大学の学生約4000人。東日本大震災など、大災害の現場で救援や復興支援をしたり、カンボジアやインドなどアジアの生活困窮地域で学校や住宅の建設を手伝ったりする活動を続けてきた。
 しかし、2020年度はコロナの感染防止のため、遠方への移動や、地元住民への支援が制限され、活動の中止や延期が相次いだ。7月の九州豪雨でも、発生時に現地へのボランティア派遣ができなかった。
 代わりに始めたのが募金活動だ。各地の駅頭などに、地元の学生メンバーらが募金箱を持って立ち、豪雨の被災者支援を呼びかけた。7月中旬から約1か月半、全国約35か所で実施し、約200人のメンバーが参加、約50万円が集まった。全額を日本赤十字社と、豪雨被害が甚大だった熊本県球磨村に分けて寄付したという。
 京都市内で募金活動を行った同志社大3年、砂原里莉香(りりか)さんは、「マスクにフェイスシールド、手袋を着用し、声をかけ続けた。猛暑の中、ドリンクを差し入れられたこともあり、人の温かみにも触れられた」と話す。

 

京都駅前で募金活動を行う大学生ら(2020年8月、イビューサ提供)

 

クラウドファンディング活用

 

 砂原さんは、2018年の大阪北部地震の際、倒壊した民家の片付けなどを手伝った。「現地での活動こそ、ボランティアだと思っていたが、コロナをきっかけに様々なアプローチを考えるようになった」と振り返る。 
 関西の大学生らが活動する学生国際協力団体「CUE(キュー)」も、カンボジアの小学校にグラウンドを作るため、日本でチャリティーイベントなどを行ってきた。しかし、コロナの影響でイベントは中止となり、グラウンドの建設費用をクラウドファンディングで集める取り組みを始めた。9月の募集で25万円が集まったという。
 聖学院大(埼玉県上尾市)は昨年の夏休み、同県鶴ヶ島市社会福祉協議会と共同で、地元の保育園児らに、オンラインでの読み聞かせを行った。絵本は学生たちが発表用資料作成ソフトで作ったという。
同大ボランティア活動支援センターの丸山阿子さんは、「コロナ禍のボランティアは、対面が難しくても、オンラインなどでつながることにメリットがある。できることを見つけ、相手に気持ちが伝わる工夫をすることが大切だ」と話していた。

 


その28<< >>その30

 

(2021年2月 5日 11:50)
TOP