対面授業は2週間で打ち切り。サークル活動はオンラインのまま。アルバイト先は休業......。新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、「大学生らしい生活ができない」状況が続いています。キャンパス・スコープ(キャンスコ)のメンバーたちは、厳しい現実を嘆く一方、「今できることをやるしかない」と、意欲を高める取り組みも始めています。(法政大学2年・星柚花)
1年遅れの入学式
この春、私の大学では対面授業が始まりました。昨年の入学以来、大学にはほとんど通えず、自宅でオンライン授業を受けていましたが、今年4月初めに「1年遅れの入学式」が行われました。保護者は参加しないなど、感染対策がとられた会場で、私は大勢の同級生たちの姿を初めて目にしました。「ようやく本当の大学生活が始まるんだ」との期待が膨らんだものです。
ところが、4月下旬、東京都に3度目の緊急事態宣言が発令され、対面授業はわずか2週間で終わってしまいました。自宅でオンライン授業を受ける生活に戻り、初めて購入した通学定期券も使えなくなりました。
キャンスコのメンバーで都内の私立大2年女子も、「4月から全ての授業が対面になったばかりなのに、連休前にオンラインに切り替わり、友人に会えなくなった」と残念がります。
大学で、私は演劇鑑賞のサークルに所属していますが、1年目は無料通信アプリのチャットで自己紹介などをしあっただけ。2年目の4月にオンラインでサークルメンバーの顔を初めて見ましたが、観劇をしたことはまだありません。
他のキャンスコメンバーからも、「対面でのサークル活動は当面、中止になった」「新入生の勧誘がオンラインでしかできない」など、思うように活動できない状況が伝わってきます。
オンラインでの会議実施を伝えるサークルからの連絡文 |
「できること」から取り組む
飲食店や大型商業施設への休業要請で、「アルバイトができなくなった」というメンバーも目立ちます。「銀座の商業施設が休業になり、無収入になった」と3年男子。都内の映画館でアルバイトをしていた3年女子は、「休業で収入がなくなり不安だが、人気映画が続々と公開され、活気が戻りつつあった映画館の経営がどうなるのかも心配」と打ち明けました。
コロナ収束の時期などが不透明な中、私が始めたこと。それは企業セミナーへの参加です。最近はオンライン上で学年に関係なく参加できるセミナーが結構、あります。
ある企業のセミナーでは、「古い要素と新しい要素がかみあうことで、最大限のパフォーマンスが生み出される」という話を聞きました。私は大学で日本の言語文化を学んでいますが、セミナーをきっかけに、現代文の知識だけでなく、古典文学の創作技法などにも関心を持つようになりました。
また「資格試験の準備に本腰を入れる」「アルバイトをするはずだった時間を、就職活動のエントリーシート作成にあてる」といったキャンスコメンバーもいます。
「できない」を「できないまま」にするのではなく、「できる」ことから行動する。プラスになることはあってもマイナスにはならないと思います。
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