あなたの大学にも、頑張っているサークル、ありますよね?ほかのサークルの大学生たちは、どんなことを考えながら活動しているのか、キャンスコを通じて、もっと多くの大学生に知ってもらうお手伝いがしたい!ちょっとお節介かもしれませんが、頑張っているサークルに声をかけて、キャンスコメンバーが紹介させてもらいます!
2. 被災地の子どもを笑顔にしたい 僕らの夏休みProject
リポート:東洋大学3年・吉田一葵
「東日本大震災からの復興」と言われて、思い浮かべる風景は何でしょうか。住宅の再建、街に活気が戻ること、鉄道や、道路の開通かもしれません。そんな「目に見える」復興だけではなく、「心の復興=子どもたちの笑顔」を取り戻すために活動しているのが、「僕らの夏休みProject(僕夏)」です。
活動の舞台は東北・岩手県の小学校。2011年3月に結成され、毎年、夏休みに現地の子どもたちと交流する「夏企画」がメインプロジェクトです。関東の15大学に支部があり、それぞれ活動しています。皆さんも大学で、名前くらいは目にしたことがあるかもしれませんね。
3日間のための3か月
「夏企画の3日間は毎日反省の連続。泣き出してしまうメンバーもいます」。実行委員長の三浦愛果さん(文教大学3年生)が話してくれました。「ただ小学生と遊ぶだけでは?」とも思ってしまいますが、「子どもたちにとっては、大切な3日間。真剣に向き合わないと失礼」と言い切ります。3日間のために、3ヶ月も前から何度もミーティングを重ねながら、レクリエーションを考え、メンバー同士で予行練習をします。「秘密基地づくり」や「化学の実験」など、自分たちが子どもだったら、どんなことを面白いと思うか、真剣に考えながら準備します。それでも、子どもたちが全く興味を持ってくれない、ということもあるのだとか。
活動の中で、何よりも大切にしているのは信頼関係。3日間では様々なことがあります。中には、小学校1年生の時に、当時のメンバーから貰った帽子を5年間、毎年かぶって参加してくれた男の子もいたといいます。クライマックスは最終日の「夏祭り」。メンバーが屋台を出して祭りを盛り上げます。「僕夏がずっといてくれたらいいのに」と、祭りの最後には泣き出してしまう子も。たった3日間かもしれませんが、親でも先生でもない、「大学生のお兄ちゃんお姉ちゃん」として、子どもたち一人一人と、真正面から向き合ったからこそ、深まった絆といえます。「岩手は第二のふるさと」と熱く語るメンバーもいるそうです。
被災地の「心の復興」の力になりたい。子供たちの笑顔は何よりの宝物だ=写真はいずれも「僕らの夏休みProject」提供 |
子どもたちが人生を考えるきっかけに
「お姉さんと同じ大学に進学する!」4年前に交流した子どもが、そう話しながら勉強に励んでいると聞かされ、三浦さんは思わず涙ぐんだと言います。目に見える成果を得ることが普段は難しいからこそ、やりがいを実感したそうです。ただ一緒に遊ぶだけでなく、「将来の選択肢を考えるきっかけを見せたい」というのも大きなテーマです。宅配ピザ店など、メンバーのアルバイト先の制服を持参して、「職業体験」を行ったことも。職業とは何か、働くとは何か、目を輝かせる子どもたちの姿から、キャリアについて、メンバーたちが改めて考えさせられることもしばしばです。
コロナ禍のいま、できること
新型コロナウイルスが猛威を振るう中、この夏の岩手県訪問は中止となりました。休校など今回の混乱に巻き込まれた子どもたちが悲しい思いをしないよう、僕夏は「お兄ちゃん・お姉ちゃん」として、子どもたちと、どう寄り添うか、を考えています。PC環境が無い家庭や、インターネット越しの対応に子どもたちは慣れていないという課題がある中で、現地の子どもたちとの交流の形を模索しているところです。
「震災発生時は小学校6年生だった子どもたちがもう成人。次の10年間をどうやって作っていくかが課題」と三浦さんは話します。プロジェクトでは現在、岩手県を訪れる活動がメーンですが、将来的には、「岩手県の大学生が岩手県の小学生と交流する」という、現地のサイクル作りを目指しているそうです。「そのモデルは、きっと、日本全国に広げていけるはず」。誰でも一度はあるであろう、子どもの頃に、人生に影響を与えてくれた、「お兄ちゃん、お姉ちゃん」たちとの交流。それは、少子化・過疎化などで少しずつ日本から失われつつある人間関係であるとも言えます。「僕らの夏休み」が、忘れられない「みんなの夏休み」になるような社会を目指して、私たちも活動を応援していきたいと思います。
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