キャンパス・スコープを英語の授業で活用 ~ 福岡県立嘉穂東高校「平和とは」考えた

  2022年10月に発行したキャンパス・スコープ46号は、全国の大学や図書館など700を超える施設で配布されました。46号のテーマは、「平和とは」。ウクライナからの留学生や、支援に関わる同世代などの思いを取り上げた内容に注目し、「授業でキャンパス・スコープを読んだ」という福岡県立嘉穂東高校(飯塚市)英語科の1年生が、たくさんの感想を寄せてくれました。その一部を紹介します。

(キャンパス・スコープ編集部)

「他人ごと」が「自分ごと」に

 

 「これまで他人事だと思っていた出来事が自分事のように思いました」。 中嶋魁人さんは、ポーランドでの避難民支援活動に関わったルポについての感想を寄せてくれました。重い荷物と赤ちゃんを抱えて歩く女性や、同世代の若者たちが「最期」について考えなければならない現実が心に残ったといいます。「これからも、ウクライナの状況について伝えてほしい」と結んでいます。

 

 「人と触れ合うことは大切だと気付かされました」と書いてくれたのは、大和さくらさんです。同校では、近くにある日本経済大学福岡キャンパスで、12月に1泊2日の研修を行いました。ウクライナ人から避難している留学生たちと、日本とウクライナの違いについて英語で議論し、ポスターを作成。全生徒の前でポスターを見せながら英語でプレゼンテーションも行ったそうです。大和さんはウクライナ人留学生に取材した記事をきっかけにこの交流を思い起こし、「言語が違うだけで、世界は一つなんだ」との思いを新たにしたそうです。 

 

記事を読み、クラスメートと意見交換

 

  ロシアからの留学生を取りあげた記事に注目したのは、辻愛心佳さんです。「ロシアの文化を嫌いにならないでほしい」という留学生の心境を思いやり、「とてもつらいと思う」と書いてくれました。

 キャンパス・スコープ46号発行に関する読売新聞の記事を読み、授業で活用することを思いついたのは、英語科の高尾昌庸先生です。高尾先生は、「大学生もいろいろなことをやっていることを知ってもらいたかった」と話します。授業ではまずキャンパス・スコープをパラパラめくりながら、見出しが目に留まった2本の記事を読んだ上で、2人1組でそれぞれが興味を持った記事について意見交換してもらいました。「友達の意外な意見に驚いていたようだ」と振り返ります。

 

 キャンパス・スコープ46号では、平和をテーマにした特集以外にも、SDGsに取り組む同世代や、多文化共生など、メンバーそれぞれが興味を持ったテーマを取り上げています。ふだんから購読している英字新聞「Japan News」を授業に活用しているという高尾先生。記事を模造紙に貼り、英文の一部を解説したものを掲示したり、英字新聞の記事を元に、量・レベルを高校生に合わせたものに作り替え、その内容に対するALT(外国語指導助手)の回答を掲載した課題プリントを生徒に定期的に配布したりして、異文化理解を促しているそうです。キャンパス・スコープを通じた授業の狙いを、「大学生が学業以外にもいろいろなことに打ち込んでいることを知って、生徒たちも刺激を受けてくれた。どんどん自分の世界を広げていってもらいたい」と話してくれました。

 

キャンパス・スコープ46号をご活用ください 

キャンパス・スコープ46号のテーマは「平和とは」。世界各地で続く紛争や対立、分断・・・。平和のために、私たちは何ができるのか。様々な人たちを取材しました。メンバーによるポーランドでのウクライナ避難民支援ルポをはじめ、日本での多文化共生の形。SDGsの目標達成のため、大学生になにができるのか――。皆さんも一緒に考えてみませんか?50部以上なら大学・高校・公共施設に無料でお送りしています。希望する先生や大学・施設職員の方は、こちらまでご連絡ください。

(2023年1月30日 07:57)
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