バイト不採用 もしかして...【新型コロナ 学生リポート】(7)

アルバイトに向かう途中に通った築地。客足が遠のき、ひっそりとしている

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府が小中高の一斉休校を要請してから、1か月が過ぎました。終息の見通しはいまだ見えず、私たち大学生にもサークル活動の自粛や、始業の延期など、様々な影響が続いています。キャンパス・スコープでは、3月16〜19日のリポートに続いて、いま、大学生の生活に起きていることを伝えていきます。

 

「若者が感染拡大」と言われるけれど...

 

 「市川か...」。3月上旬にアルバイトの面接を受けたメンバーは、応募書類の住所欄を見た担当者の、困惑した表情が忘れられません。市内のスポーツクラブで新型コロナウイルスの集団感染が話題になった直後のこと。結局、採用は見送られてしまいました。「もちろん、他にも理由はあったと思うけど、釈然としない気持ちはある」。大きな収入だったイベント関係のアルバイトは、相次ぐ中止で、3月、4月は1万円以下の休業補償だけ。ようやく4月下旬にオープン予定の飲食店にオープニングスタッフとして採用されましたが、首都圏の外出自粛要請に伴い、研修は4月中旬に延期されてしまいました。現在も、勤務できる見通しは立たないそうです。正規の社員と違い、リモートワークも難しいアルバイト。「自粛」による経済の影響がダイレクトに及んできています。

 

 「お客さんが過敏になっている気がする」ドラッグストアでアルバイトをしているメンバーは、こう話します。「いつマスク入ってくる?」「これで除菌できるの?」「1点しか買えないの?」毎日のように繰り返される質問にうんざりした様子。ターミナル駅にあるお店の売り上げを支えていた中国からの観光客も途絶え、店長も頭を抱えているそうです。毎日の検温や体調の報告が必須となり、緊張を強いられる日々が続いています。

 

 相変わらず手に入りづらいマスク。「長い春休み」で学習塾での授業が増えたメンバーは、「当初はマスクが配られていたが、自己調達になった。どこで買えばいいの?」と憤ります。小中学生を相手にしているだけに、こちらも気の抜けない毎日です。

 

 私のアルバイト先でも先日、消毒作業が行われていました。ビル内で感染の可能性がある方が出たため、と言われていますが、検査の結果はまだ知らされていません。授業も延期、再延期で、4月からの予定も白紙です。私は幸い実家暮らしなので、アルバイト代が減った程度の影響しか受けていませんが、周囲には「生活が苦しくなった」という友人が増えています。休業補償は普段の収入に遠く及ばず、下宿生のため生活費が足りなくなった友人は「お金を送ってくれないか」と両親に連絡したそうですが、実家にも余裕はないそうです。

 

 東京の先日の感染者のうち、10代20代の割合は約2割でした。ニュースでは同世代の学生たちが「感染を拡大させている」という批判を受けることが増えています。生活が苦しくなる中、多くの大学生は、仕方なく外出を自粛している、という面もあります。不要不急の外出を避け、なるべく自宅にいる。これが私たち学生にできる一番の対策、と信じて、毎日を過ごすしかなさそうです。

(東洋大学・吉田一葵


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(2020年4月 6日 12:45)
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