10.その国の言葉で文化を学ぶ
日本女子大学2年 中村樹嶺(じゅね)
昨年12月、日本と中国の文化交流を行う大学生訪中団の一員として、初めて中国を訪ねた。5日間のうち2日を上海で過ごし、現地の大学で日本語を専攻する学生たちと交流した。
多くの学生は大学敷地内の寮に住み、遅くまで勉強しているらしい。ある女子学生は「日本映画が好きで、それを翻訳するのが娯楽でもあり、勉強でもあるんだよ」と自然な発音の日本語で話した。
別の女子学生は日本のアニメやアイドルに関心があり、「学びたくて大学に通っているのだから勉強するのは当たり前」と、こちらも滑らかな日本語で語った。
一方、私は大学で中国の歴史の授業を受け、儒教の本も読んでいた。日本語を習得した彼女たちと会話は楽しめたが、勉強の熱心さにも刺激され、中国の文化に中国語で触れてみたいと思った。
帰国後、私は、初心者向けのテキストで辞書を引きながら、中国語の勉強を始めた。現地のポップカルチャーなどを知るため、中国のテレビ番組を日本語の字幕付きで見ている。
年が明け、中国で新型肺炎が流行し始めた。私は上海の友人たちが心配になり、その一人と無料通信アプリで連絡を取るようになった。
2月中旬のやりとりでは、彼女は感染防止のため実家に戻り、大学の授業はネットで受けている状況などを日本語で伝えてきた。
私は、辞書で覚えた中国語で「加油(頑張れ)!!」のメッセージを送った。彼女は日本でも感染者が出ていることを気遣い、「我们一起加油(お互いに頑張ろう)!!」との中国語の返信を送ってくれた。
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