16.大学生活の主導権
上智大学2年 安藤麻子
大学生になって間もない頃の、自分の日記を読み返してみた。そこには将来について、「自分の才能を生かせる職業につきたい」と書いてあった。
なんとも漠然とした目標だが、2年生の終わりを迎える最近まで、「才能」という言葉に悩んでいた。
「キャンパス・スコープ」43号のインタビューで、映画「少女邂逅(かいこう)」の枝優花(えだ・ゆうか)監督が、「才能を認めてくれる大人に出会う機会に恵まれて、仕事を続けていくことができた」と語っていた。私は、「就職できるように、自分の才能を見つけなくては」と思い、就活のために「みんながすること」をやり出した。
市民マラソンの給水ボランティアをしたり、TOEICの試験を受けたり。低学年向けインターンシップ(就業体験)で、テレビ番組の台本を何百枚もコピーする経験もした。
だが、いくら続けても才能が見つかるどころか、「これって、自分のやりたいことなのか」と思った。
「こんなことをしてきた」とアピールする材料にはなるだろうが、それは才能ではない。就活で成功するには「才能がなくては」と思い込み、才能でも何でもないものを追いかけていたのかもしれない。
才能のあるなしに縛られて大学生活を送るのでなく、自分の意思で行動していきたい。才能があとからついてくることもあるだろう。
いまの私の日記には、「やりたいこと挑戦したいことを見つけて実行する! 就職に大学生活の主導権を握らせない!」と書いてある。
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