20.釣れても釣れなくても
流通経済大学3年 石塚一成
私の趣味は釣りだ。
友人と二人で近所の川に出かけることが多い。川に着くと、釣りざおを取り出し、針に餌をつけ、さおを握る。
狙うのはナマズだ。
大学１年の秋、この友人の誘いで初めて釣りをしたとき、重さ３キロはある大物のナマズが食いついた。ところが、途中で糸が切れ取り逃してしまった。悔しくて、以来、動画を見るなどして釣りを勉強し、道具も揃えた。
ナマズを狙うときは、サバの切り身を餌に、釣り糸を垂らし、静寂の中でさおの先が振動するのを待つ。
だが、ナマズに嫌われているのかと思うほど、何度挑戦しても釣れない。
あきらめかけていたある日、突然、水の跳ねる音とともに、手に重さが伝わってきた。さおが弧のように曲がり、糸がピンと張る。リールを巻き、もう逃すまいと思いながら糸を手繰り寄せ、目の前に現れたナマズを網で引き上げた。
最初に取り逃がしてから１年近くがたっていた。
全長約30センチの小物だったが、うれしかった。釣ったナマズは、一口サイズに切り、唐揚げにして食べた。絶品だった。
ナマズの他には、コイやフナなどを釣ってきた。釣れるときより、釣れないときのほうが多いが、不思議なことにあまり落ち込まず、また釣りに行ける日が楽しみになる。今は、新型コロナウイルスの感染拡大防止で、不要不急の外出自粛が呼びかけられており、釣りに行くのは控えている。早めの収束を願うばかりだ。
釣れればハマるし、釣れなければもっとハマる。それが私にとっての釣りだ。
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