自分たちの街をよりよい街に ~ 「詐欺撲滅」小学生が呼びかけ

 高齢者などを狙ってお金をだまし取る「特殊詐欺」の被害が後を絶ちません。警察庁の調べでは、2023年に限っても、19,038件、総額で452億円の被害が報告されています。高齢者の被害を減らし、自分たちの街をよりよい街にしていこうと活動する小学生たちを取材しました。

(法政大学・熊川耕平、写真も)

自作のチラシを年金支給日に配布

 

 「詐欺に気をつけてください!」。駅前のメインストリートに、小学生たちの元気な声が響き渡ります。年金支給日となる12月13日の朝、通り沿いにある千葉銀行の支店や郵便局には多くのお年寄りが訪れていました。

 

 

 「ありがとう」「小さいのに頑張ってるね」。特殊詐欺への注意を呼びかけるチラシを受け取った高齢者たちが、笑顔で答えます。呼びかけを行ったのは近くにある八千代市立勝田台小学校児童会メンバーの5・6年生たちです。「自分たちで作ったチラシを受け取ってもらって、うれしかった」。遠山愛美香さんが、白い息を吐きました。

 

大人たちのアイデアに学ぶ

 

 児童会のメンバーたちは、「自分たちが住む街をよりよくするためには何ができるか」をテーマに話し合いを続けてきました。全国的に特殊詐欺の被害が減らないニュースなどを参考に、高齢者に注意を呼びかけよう、というアイデアが浮かびました。

 

 10月に行った第1回目の活動は、ほろ苦いものでした。「時間がない、と言われて受け取ってもらえなかった」。久保里依紗さんが振り返ります。どうすれば自分たちの思いを聞いてもらえるか、大人たちの意見も聞いてみよう、という声が上がりました。10月の下旬、キャリア教育の授業で学校を訪れた千葉銀行の広報部長・成田匡さんのアドバイスも参考に、「高齢者の立場になってアピールしよう」という方針が定まりました。地域の包括支援センターの人から高齢者への接し方などを学んだ子どもたち。「お時間ありますか?」「怪しい電話がかかってきたことありませんか?」――。通りかかる高齢者たちに寄り添って声をかけました。

 

 

 「詐欺の被害が増えています。注意してください!」。穴澤孝太朗君は、拡声器も使って注意を呼びかけました。知らないお年寄りではなく、自分たちのおじいちゃん、おばあちゃんに向かって呼びかける気持ちも込めました。「これからも勝田台のためにできることを考え続けたい」。子どもたちの思いが、一人でも多くの人に届いてほしい、と思います。

 

(2025年2月 7日 09:00)
TOP