[81]変化を考える
昨夏も暑かったが、今年はさらに早く猛暑が訪れた感じがする。そんな夏の長期化に対応し、アパレル業界には、商品の生産・販売計画を見直す動きが広がっているそうだ。季節分けをこれまでの四季から変更し、各シーズンの気候に合わせた商品を売り始めたという。ブランドによって、「二季」に減らしたところも「五季」に増やしたところもあるらしい。そんな記事が、5月31日の読売新聞朝刊に載っていた。
5月8日の朝刊にも、気になる記事が見つかった。湯船につかることを重視しないライフスタイルが広がっていて、都市部などで浴槽のないシャワーだけの「浴槽レス」の集合住宅が人気を集めているという。湯をためる水道代や入浴時間を「コスパ、タイパが悪い」と考える若い世代が増えたことが背景にあるとも書いてあった。入浴に対する感覚が、私たちの世代とはだいぶ違うのだろう。
四季にしても、風呂にしても......。これまで当たり前に思っていたことが、次々と変わりつつある。うっかり生きていたら、変化を見過ごしてしまいそうだ。
![]() 学校にも今、以前なら考えられなかった変化が次々と起きている。休憩時間の外遊びが熱中症対策でなくなり、暑さを理由に水泳指導を中止する学校が続出している。タブレット端末の導入などが進んだため、学校から各家庭へのお知らせも紙からメールに置き換わってきた。今後も、小学校高学年の教科担任制や中学校の部活改革と、新しい波が次々とやって来そうだ。 何ともめまぐるしい時代にあって、教育現場には「変化の兆し」を常にとらえ、適合していく感覚が必要だろう。大きく変わったと感じられる制度や生活様式が、子どもたちが生きる未来においては当たり前のことになっているのだから──。
とりあえず、私はきょう、湯船につからずシャワーだけにしてみようかな。
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田中孝宏 読売新聞教育ネットワーク・アドバイザー
1960年千葉県船橋市生まれ。元小学校長。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。