府中をフェアトレードの街に ~ 明星高校生がイベント~

 最近、耳にすることが増えた「フェアトレード」。開発途上国の生産者や労働者の生活改善のための取り組み、ということはわかっていても、何をすればいいのかわからない、という印象があります。フェアトレードが目指す「公平・公正な取引」を多くの人に知ってもらおうと高校生たちが企画したイベントがあると聞き、取材しました。

(昭和女子大学・石川千桜、写真も)

 

コーヒーやアイス味わって

 3月17日の午後、京王線府中駅前の「けやき並木通り」は、多くの人で賑わっていました。

 

 「フェアトレードで作ったコーヒーです。味わってみてください!」

 

 イベントを企画した地元・明星高校の1年生(当時)たちの元気のいい声にひかれて立ち寄ったのは、ミャンマーの女性たちによって作られたというコーヒー豆の販売ブースです。ドリップコーヒーのパックが200円で売られていました。コーヒーのほかにも、ココアやチャイも手頃な値段で販売。フェアトレード商品は価格が高いイメージがありましたが、一般的なコーヒーショップで売られているものと同じくらいの値段で驚きました。毎日飲むコーヒーからフェアトレードを考えるのもすてきだな、と感じました。コーヒー豆は、ミャンマーでのフェアトレード栽培に取り組む会社が輸入したものです。2021年のクーデター以来混乱が続く国の生産者の苦労を思い、少しでも力になれればと感じました。

 

 「普段足を運んでいるスーパーでも、意識するとフェアトレード商品を見つけられますよ」。

 

 コーヒー豆の販売を担当していたのは明星大学(日野市)の中村弥生さんら、人文学部の毛利聡子教授のゼミの学生たち。中村さんたちは、同世代に理解を深めてもらおうと、学食で「フェアトレードカフェ」を開くなどの活動を行っています。「きょうをきっかけに、多くの人に身近に感じてほしいですね」と笑顔で話してくれました。

 

児童労働の現状 体験コーナーも

 別のブースでは、フェアトレードで取引されたバナナやカカオを使った「フェアトレードアイス」が販売されていました。ほかにも、児童労働の現状を知ってもらうため、子どもたちが背負わされるコーヒー豆などの「麻袋」の重さを体験してもらうコーナーもありました。小学生たちが「うわ、重い」「こんなの持てないよ」などと声を上げます。フェアトレードの現状を、体験で学ぶことで理解が深まるように感じました。

 

 「同じ世代の子どもや女性が過酷な労働を強いられている現状を知ってもらいたいと思いました」。

 

 イベントの企画代表・池田翔さんが真剣な表情で語ります。明星大と同じ法人が設置する明星高校(府中市)の1年生たちです。毛利ゼミの学生による出前授業などで知識を深め、23年10月の学園祭ではフェアトレード商品の販売にも取り組みました。今回のイベントは、もっと多くの人たちにフェアトレードを知ってもらおうと企画したそうです。学内ではなく、一般に向けて商品を販売するのは初めての試みでしたが、多くの人でにぎわった会場を見て、手ごたえを感じた様子。「府中をフェアトレードタウンにしたいんです」。同じく企画代表を務めた竹内優里那さんも力を込めます。

 

 フェアトレードは私たちが暮らす日本などの先進国と途上国の間に横たわる様々な利害や経済関係が絡み、解決は容易ではない問題です。恵まれた環境で暮らしている私たちは、意識しなければ済んでしまうように感じてしまうこともあります。フェアトレードの商品を手に取ることが、苦しんでいる世界の人たちの力になる――。高校生たちの思いが、府中市だけでなく、広く伝わっていくことを願っています。

 

(2024年4月17日 08:30)
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