全国高校ビブリオバトル代表、兵庫・秋田・長野・高知で決定...11月23日
兵庫...南條清斗さん、チャンプ本は「言語沼」
県大会で優勝した六甲学院高の南條さん(甲南大学で)
兵庫県内の高校生がお薦めの本を紹介し合い、最も読みたい本を聴衆の投票で決める「県高校ビブリオバトル大会」(読売新聞社など後援)が、神戸市東灘区の甲南大学岡本キャンパスであり、六甲学院高2年の南條清斗さん(17)が優勝した。
32校の代表が参加し、予選、決勝が行われた。南條さんは、言語にまつわる謎に迫る「言語沼」(堀元見、水野太貴著)を紹介。「私たちが何げなく使っている『えーっと』と『あのー』の違いなど言葉の疑問が、対話形式でわかりやすく語られています」と語りかけ、聴衆の興味をそそった。
来年1月28日に東京国際大学池袋キャンパスで開催される決勝大会(特別協力・東京国際大学)に県代表として参加する南條さんは「普段使っている日本語に面白い問題が隠れていることを、多くの人に知ってもらえる機会ができたことがうれしいです」と語った。
秋田...小玉柊乃華さん、チャンプ本は「ラノベ古事記 日本の神様とはじまりの物語」
中高生がお薦めの本の魅力を発表し、聴衆が最も読みたくなった本を投票で決める「ビブリオバトル秋田県大会」(県教育委員会主催、読売新聞秋田支局後援)が23日、秋田市の秋田拠点センターアルヴェで開催された。地区予選を勝ち上がった高校生6人、中学生7人が身ぶり手ぶりを交えながら熱弁を振るった。
高校生の部では、小野寺優さんの文芸書「ラノベ古事記 日本の神様とはじまりの物語」を紹介した県立秋田南高校の小玉柊乃華(ひのか)さん(1年)、中学生の部では、浅倉秋成さんの小説「俺ではない炎上」を紹介した県立秋田南高中等部の山田煌真君(2年)が優勝した。高校生の決勝大会は来年1月28日に東京都豊島区の東京国際大学池袋キャンパスで、中学生の決勝大会は来年3月24日に滋賀県大津市の龍谷大学瀬田キャンパスで開かれる。
ほかの入賞者は次の通り。(敬称略)
【高校生の部】2位桜田雅(県立能代松陽1年)
【中学生の部】2位杉山聖頼(三種町立山本3年)
観客意識 軽快な語り
◇小玉柊乃華さん(県立秋田南高1年)
高校生の部で優勝した小玉さん(23日、秋田市で)
日本最古の歴史書「古事記」が題材の本を手に、「難しい日本史に拒否反応が出る人もいると思うけど、すごく面白いんですよ」と軽快に語り出した。
「ラノベ古事記」は、古事記を編纂(へんさん)した太安万侶が元明天皇に献上する場面から始まる。読むのを面倒がった天皇が「アニメ化しないかしら」と言い出し、ラノベ風に書き直すことに。
「ツンデレ」「チャラ男」といった言葉でキャラ付けされた神々が、現代語で繰り広げるユーモアあふれるやり取りに「ただ腹を抱えて笑って楽しめる」と薦めた。
初出場で緊張もあったが、観客席の一人ひとりに語りかけるように意識した。決勝大会に向け、「少年マンガの主人公のように、みんなの思いを背負って1位を取りたい」と意気込んだ。
長野...清水陽和さん、チャンプ本は「正欲」
ビブリオバトルの県大会で優勝した清水さん(左)と横沢さん
長野県内の中高生がお薦めの本の魅力を語る書評合戦「高校・中学ビブリオバトル県大会」(県大会実行委員会主催、読売新聞社後援)が23日、長野県塩尻市市民交流センター「えんぱーく」で開かれた。高校部門は須坂高の清水陽和さん(1年)、中学部門は塩尻市辰野町中学校組合立両小野中の横沢たまきさん(3年)が優勝し、全国大会となる来年の決勝大会の出場権を得た。
高校部門は5校16人、中学部門は3校7人が参加。5分間で本を紹介し、質疑応答の後、聴衆らの投票で一番読みたくなった「チャンプ本」が選ばれた。
清水さんは多様性をテーマにした「正欲」(朝井リョウ著)を取り上げた。登場人物の様々な欲求や性的指向を例に挙げ、「本当に多様性は認められていると思いますか」と聴衆に問いかけた。発表後は「物語の内容を言うだけでなく、興味を持ってもらえる説明を心掛けた」と振り返った。
横沢さんは短編集「ZOO」(乙一著)から一人の男とロボットの物語を紹介。死や命について考えさせられる深い内容に「読むごとに描写の捉え方や感じ方が変わる。読み終わった後も楽しめる」と魅力を語った。決勝大会に向け、「苦手な分野の本も読み、視野を広げたい」と力を込めた。
高校の決勝大会(特別協力・東京国際大学)は来年1月28日に東京都豊島区の東京国際大学池袋キャンパスで開催。中学の決勝大会(同・龍谷大学)は3月24日に大津市の龍谷大学瀬田キャンパスで行われる。
高知...吉本和夏さん、チャンプ本は「失楽園のイヴ」
「失楽園のイヴ」の面白さや魅力を語る吉本さん
お気に入りの本の魅力を紹介する書評合戦「全国高校ビブリオバトル2023」の高知県大会(読売新聞社後援)が23日、高知市のオーテピア高知図書館で行われた。参加した7校16人の中から、県立山田高2年の吉本和夏さん(17)が最優秀の「チャンプ本賞」に選ばれた。吉本さんは高知県代表として決勝大会に出場する。
制限時間5分で本の内容や魅力を紹介し、会場の投票でチャンプ本を決める。今回は8人ずつ2グループに分かれて予選を競い、計4人が本戦に出場した。
吉本さんは藤本ひとみさんの小説「失楽園のイヴ」を紹介した。同書は、児童書「探偵チームKZ事件ノート」に続くシリーズの一作で、吉本さんは小学生の時からシリーズを読み続けていたという。
本戦では「小中学校、高校と、主人公たちと一緒に成長してきた」と述べた後、分析が得意で冷静な男子高校生が女性チューターに恋をし、翻弄(ほんろう)される様子を、声に抑揚を付けながら身ぶり手ぶりを交えて語った。
文芸部に所属する吉本さんは「部に功績を残すことができてうれしい。決勝では聞き手の反応を見ながら臨機応変に話せるようになりたい」と意気込んだ。
決勝大会(特別協力・東京国際大学)は来年1月に東京国際大学池袋キャンパス(東京都)で開かれる。
ほかの本戦出場者と高校、紹介した本は次の通り。(敬称略)
▽島内優月(土佐塾高1年)「さかさ町」▽島村音橙(県立中村高3年)「ラーゲリより愛を込めて」▽松岡央(県立山田高2年)「姑獲鳥の夏」