全国中学ビブリオバトル山形県大会、土屋穂乃佳さんV...高校生が企画・主催した異例の大会
お気に入りの本を紹介し合い、最も読みたくなった本を聴衆が決める「全国中学ビブリオバトル 2025山形県大会」(実行委員会主催、山形県立図書館共催、読売新聞社など後援)が12月7日、山形市緑町の県生涯学習センター「遊学館」で開かれた。中学生の県大会は山形で初めて。企画したのが高校生たちという全国的にも異例の大会は、大きな盛り上がりを見せた。
「アルプス席の母」がチャンプ本
中学2年生6人が参加し、約30人の聴衆が耳を傾けた。参加者は、5分間で身ぶり手ぶりを交えて愛読書の魅力を紹介し、発表後は聴衆からの質問に答えた。
最優秀賞には、山形市立第十中学2年の土屋穂乃佳さん(14)が選ばれた。土屋さんは「アルプス席の母」(早見和真著、小学館)を紹介。高校球児とシングルマザーの母親が、試練を乗り越えて甲子園への切符をつかみ取るまでを描いた物語とあらすじをまとめた。クラブチームで野球をしている自身の経験を踏まえて「日頃、忘れてしまいがちな親への感謝の気持ちを思い出させてくれる。思春期まっただ中の私たちだからこそ読むべき本」と伝えた。
来春に東京都で開かれる全国大会に出場する土屋さんは、「共感してもらえるよう問いかけを多くしたのがよかった。(全国では)結果だけを求めず、全力で楽しみたい」と意気込みを語った。
優秀賞には、「掟上今日子の挑戦状」(西尾維新著、講談社)を紹介した新庄市立新庄中の大場千聡さん(13)が選ばれた。大場さんは「緊張したが、自分の好きなことに(聴衆が)耳を傾けてくれるので楽しかった」と振り返った。
「本は人と人をつなぐ」主催の高校生、実行委員長あいさつで
県内初の中学ビブリオバトル県大会は山形中央高校の2年生4人が中心となって企画、主催した。
実行委員を務めたのは小和田琉惺さん(16)、佐藤颯太さん(17)、足立実加さん(17)、長沢遼大さん(17)の4人。

主催者としてあいさつする小和田さん
昨年の「全国高等学校ビブリオバトル2024山形県大会」に出場した後、4人は高校と比べて中学のビブリオバトルの県大会の開催数が少ないことを知り、山形での初開催に向けて準備を進めてきた。
今月2日には山形市立第十中学校を訪問。参加希望者にビブリオバトルを体験してもらった。同校からは今大会最多となる3人が参加した。
大会当日は実行委員長の小和田さんと司会の長沢さんの2人が参加。小和田さんは閉会式で「本は人と人をつなぐものだと改めて実感した。誰かの言葉が誰かを励ますような、そんな時間をまた一緒に過ごせたら」とあいさつした。大会は盛況に終わり、長沢さんは「参加者を集めるのは大変だった。(疲れて)倒れそうだが、楽しかった」と笑顔を見せた。



