海外で学ぶ・リレーエッセー[63]米カラマズー大 苦手なものに挑戦して

ドイツ語授業の学友と授業の一環でケーキを作った(右から2人目)

東京都立田柄高卒、カラマズー大学(米国)1年(20年4月時点)

林 珍郁 さん

Hayashi Jiniku

 ボクサーになることを夢見ていた日から約3年、今私はアメリカのカラマズー大学の図書館で慣れない手つきでキーボードを打ちながら自分の専攻であるコンピューター科学の宿題をしている。

 

 カラマズー大学はミシガン州にある小さな大学で、リベラルアーツ教育を重んじている大学である。ボクシングでコーチとのマンツーマンの練習が好きだったように、教授を独り占めにして学べるところはどこかと考えた時、カラマズー大学への入学しか考えられなかった。

 

 高校時代に苦手意識から逃げてきたものに挑戦しようと決め、コンピューター科学を専攻することにした。全くわからないコンピューターの知識を不安要素がかなり残る自分の英語で学んでいくことはかなりつらいことであった。例えば教授が何を言っていたのか、完璧に理解しておらず、教室に来たら自分が知らない宿題をみんなが提出していたこともあった。

 

 しかし頭を抱えて悩んでいる時、1人の教授が隣に座ってくれ一から優しく教えてくれた。この時の感激は今でも忘れられない。教授が一人の生徒のために時間を取ってくれる。カラマズー大学の魅力を再確認できた思いだった。

 

 カラマズー大学は言語学習にかなり力を入れている。大学3年生の時にはほとんどの学生がかなりの言語スキルを身につけ、大学からの多額の奨学金で海外の大学に留学する。何ごとにも挑戦してみたい私は全く予備知識もなくドイツ語を選択した。月水金には少人数で行われるドイツ語の授業に参加し、火木にはネイティブ・スピーカーとの会話をし、スピーキング能力を上げた。

 

 留学から帰ってきた先輩たちの流暢(りゅうちょう)なドイツ語を聞くとモチベーションが上がり、ドイツ語勉強にさらに力が入る。勉強を始めてからまだ半年しか経たないにも関わらず、ある程度の簡単な日常会話がネイティブ・スピーカーとできるようになり、自分自身の成長を感じることができた。

 

 自分の成長を感じながら毎日を過ごしていると気づいたら金曜日の昼になっている。友達が部屋まで迎えに来てくれ、そのまま友達と美しいキャンパスを歩きながら何を食べるか、話しながらダウンタウンに向かう。毎日を過ごしているとあっという間に1年生の終わりが見えてきた。あと3年間ある大学生活、次に何に挑戦しようかと考えると、楽しくて仕方がない。

大学のメインビル前で日本人の友人と(右端)
大学のイベントにスーツを着て参加した(右端)=いずれも本人提供

カラマズー大学

米ミシガン州カラマズーにある1833年創立の私立リベラルアーツ・カレッジ。学生数1491人という小規模大学で、語学教育に定評があり、7割の学生は卒業までに最低1学期間、海外の提携大学に短期留学している。

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海外留学を目指す高校生に進学支援を行っているNPO法人「留学フェローシップ」のメンバーが、海外のキャンパスライフをリレー連載します。留学フェローシップの詳細は>>ウェブサイトへ。

(2020年4月24日 09:30)
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