海外で学ぶ・リレーエッセー[65]英ダラム大 毎日が討論会─城下町での日々

学友と学生寮になっているダラム城の入り口にて(右)

桐蔭学園高(横浜市)卒、英ダラム大学3年(20年6月時点)

天野 淳風 さん

Amano Jumpu

 ダラム大学はロンドンから電車で北へ3時間進んだ地にある城下町と融合した大学だ。英国では大聖堂と城の街で知られ、歴史と教会の鐘の音が人々を迎えてくれる。敵に攻められにくい高台にあえて城を建てた先人にとって1000年後に授業や買い物で坂を上り下りする現在の学生の姿は流石(さすが)に想定外であろう。

 

 僕は大学準備予科(ファンデーションコース)からダラムに通い始めた。人々の性格の違いはどこから来るのだろうかと考え、伝統と格差が入り混じる英国で、教育学と政治学を学びたいと進学を決めた。その後、準備予科の1年で脳や社会心理にも興味が広がり、教育学と心理学に進路の方向修正をした。

 

 「少なっ!!」。大学3年間、シラバスで授業のコマを確認するたびに叫びそうになる。理系は授業で埋め尽くされているとも聞くが、英国の大学の文系過程は驚くほど授業の数が少ない。1年生時でも週20時間にも満たなかった授業とセミナーが大学3年目では5-10時間程度までになった。さらに言えば、授業に行くかどうかも個人の裁量に委ねられ、成績は論文課題と、学年末に行われる一度のみのテストからしか構成されない。授業点等は無く、追試で不可を取れば放校だ。僕も数回危ない経験をした。

世界遺産ダラム大聖堂を背景に学友と

 大学が定める拘束は少ない一方、学生はいつも忙しそうにしている。通年でも6か月しかない授業期間は論文課題と討論形式のセミナーの準備に追われて、なかなか気が休まらない。冬休みも論文課題、春休みでさえも期末試験の勉強でせかせかしている。夜になると部活、フォーマルディナー(大学内各カレッジや組織ごとに違った友人や教授陣との夕食会)、討論会とイベントが多く、体が二つあっても全ての行事には行ききれない。

 

 ダラム大学特有のカレッジ制の中で送る寮生活も僕にとっては挑戦の日々だった。朝ごはんを食べている時でも、授業へ向かう時でも、パブでもクラブ帰りでも学生はいつも何かしらの議論をしている。政治や経済のことは勿論(もちろん)、人生観、夏の予定など話題に欠いたことは一度もない。英語をうまく話せなかった1年目は自分も何か言い返さないといけない、そんな焦燥感ばかりだった。それが今では英語で真面目な話や冗談を言い合える友人に囲まれている。留学生活も残りわずかになった今、断片的に思い出されるダラムでの経験は一つ一つが僕の基礎になり今後の人生を彩ってくれるはずだ。

学年末の正装を纏(まと)うパーティで学友と(右)=いずれも本人提供

英ダラム大学

イギリスの大学都市ダラムにある、1832年創立の英国を代表する名門国立総合大学。学生総数は1万9000人弱で、その3割は留学生。市内にある世界遺産のダラム大聖堂は、映画ハリー・ポッターのロケにも使われ、入学式や卒業式はこの大聖堂で行われている。

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(2020年6月25日 09:00)
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