海外で学ぶ・リレーエッセー[71]米ミネルバ大 人間力を高める大事な気付き

1年目の拠点であるサンフランシスコの名所、ゴールデンゲートブリッジで同級生と(前列中央)

熊本県立宇土(うと)高校卒、米ミネルバ大学2年(20年12月時点)

成松 紀佳 さん

Narimatsu Norika

 「高等教育の再創造」を掲げるミネルバ大学には、キャンパスがない。学生は4年間をかけて、世界7都市で全寮制の生活を送りながらオンラインで講義を受ける。ユニークなカリキュラムで注目されるミネルバ大学で1年目を終えた今、私が感じる一番の学びは意外なものだった。

 

 大学入学前、私の日本での高校生活は、順風満帆そのものだった。科学部では世界大会で入賞するという成果を残すことができたし、地元でのボランティア活動が市長から表彰されたこともあった。海外大学受験においても、第一志望校にはおちたものの、自分の価値観にあうミネルバに出会うことができた。しかし、右肩上がりの人生曲線は、大学入学と同時に一変した。

 

 入学オリエンテーションの夜、同級生たちからのFacebook申請を承認していた時、彼らのびっしりと埋まった経歴欄に驚いた。初めての講義、90分を議論に使うため、学生は事前課題を通して予め知識をインプットすることが求められる。ルームメートが、早々と事前課題を終わらせて出かける中、私には何倍もの時間が必要だった。

出身国の文化を紹介するミネルバの恒例の行事「10:01(テン・オー・ワン)」にて、お琴の演奏を披露
日本のソーラン節を披露(奥右=いずれも本人提供)

 初めて大きな課題を出し終えて迎えた秋休み。今まで講義や課題でいっぱいだった頭に余裕ができ、突然、ホームシックと劣等感が襲ってきた。人生最大のメンタルブレイクの中、転機になったのは同級生との何気ない会話だった。ある夜、仲の良かったミネルバ生の1人とパキスタン料理屋に出かけた。インド料理のビリヤニを食べながら、2人で大学生活や私生活について話していたとき、彼女が私と同じような悩みを抱えていることを知った。今まで「完璧」だと思っていた彼女も、何かに悩み苦しむことがある人間なんだと実感した。学問、恋愛、キャリア、人それぞれ悩みは違う。しかし、今まで雲の上の存在だと思っていた同級生も、どこかしら不完全な自分と向き合っていると知り、以前より自分の悩みを共有できるようになった。

 

 この記事を読んでいるあなたも、私と同じような悩みを抱える日が来るかもしれない。そんな時は「自分だけではない」ということを思い出してほしい。「世界最難関」と巷(ちまた)で囁(ささや)かれている大学で学んだことは、人間力を高める大事な気付きだったのかもしれない。

ミネルバ大学

米カリフォルニア州サンフランシスコに本部を置く総合私立大学。2012年設立で14年に開校した。授業は1クラス最大18人が上限という少数編成のセミナー形式で行われる。学生は4年間で米サンフランシスコ、ハイデラバード(インド)、ベルリン(ドイツ)、ロンドン(英国)など世界の7都市を移動する。

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海外留学を目指す高校生に進学支援を行っているNPO法人「留学フェローシップ」のメンバーが、海外のキャンパスライフをリレー連載します。留学フェローシップの詳細は>>ウェブサイトへ。

(2020年12月24日 09:30)
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