田中センセイの徒然日誌[88]温かな指摘

[88]温かな指摘

 

  「天国のママ」へ

  漢字テスト「手紙」を「毛紙」と書いた。

  ばあばが温かい手紙だねと笑ってくれた。

 

 日本一短い手紙で知られるコンクール「一筆啓上賞」で、2025年の大賞に選ばれた作品の一つだ。

 祖母と暮らす子どもが、亡くなった母に対してちょっとした日常のできごとを伝える、胸打たれる内容だが、私は、この手紙を読んで、祖母の孫への対応に感心してしまった。

 

 漢字テストで「手紙」を「毛紙」と書いてしまった子どもたちに、こんな温かい指摘をしてあげられたらどうだろう。子どもはニヤッと笑って自分で間違いに気付くような気がする。〇×だけなら機械でもできる時代。ちょっとしたつまずきに寄り添って声をかけることが、教師の子どもたちに対する評価というものではないかと思う。

 

 自給□□に「千円」と答えた子どもに「よくニュースを知っているね」と声をかけたり、品に「川」「面」と答えた子どもには「何か用事があるのかな」と尋ねてみたり。漫才のようなやりとりができると、テストも楽しくなるのかもしれない。

 

 

[87]<< 一覧

 

田中孝宏 読売新聞教育ネットワーク・アドバイザー

1960年千葉県船橋市生まれ。元小学校長。「ブラタモリ」にならって「ぶらタナカ」を続けている。職場の仲間や友人を誘って東京近郊の歴史ある地域を歩く。「人々はなぜ、この場所に住むようになったのだろう」と考えると、興味は尽きない。

 

(2026年6月12日 17:32)
TOP