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教育ルネサンス[6] 山口正さん・伊藤学司さん


2017年10月6日 読売新聞朝刊 掲載


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 公立小中学校では、非正規で働く教員への依存度が高まっている。だが、正規教員に比べて給料は安く、立場は不安定だ。そうした現状や課題について、日本福祉大の山口正教授と、文部科学省財務課の伊藤学司(がくじ)課長に聞いた。

 

■処遇改善へ財政的措置を

山口正さん(日本福祉大教授)


 学校現場では、非正規教員の割合が増えている。自治体が厳しい財政事情の中で、正規教員から、人件費の安い非正規教員への切り替えを進めてきた結果だ。

 こうした状況にはさまざまな問題がある。

 非正規の教員は、正規教員と同じようにクラス担任や部活動の顧問を務めることも多い。しかし、任期は1年以内で、勤務校は頻繁に変わる。これでは継続的な教育活動ができず、教育効果はあがらないだろう。

 年度末などに任期が切れ、一時的に失業状態になる「空白期間」も改善を急ぐ必要がある。

 給料が安いうえ、生活も安定しないような立場では、安心して子供たちに向き合うことは難しい。

 教育に熱意を持った非正規教員の自己犠牲に頼った教育の仕組みは、早急に改めなければならない。

 学年主任など主に正規教員が担う仕事もある。非正規への切り替えにより正規教員の割合が減れば、負担が増えることも考えられる。教員の働き方改革が求められる中で、多忙化に拍車がかかっている。

 国は自治体任せにせず、教員の処遇の改善を進められるように、財政的な措置をとるべきだ。

 

■正規教員の安定配置必要

伊藤学司さん(文部科学省財務課長)


 処遇の不安定な任期付き教員(非正規教員)が教育に支障が生じるほど多くなる状態は好ましくない。仮に人件費を抑制するために任期付き教員を増やすケースがあるとすれば適切ではない。

 ベテラン教員の大量退職期を迎えている。

 教員の年齢構成に偏りがあると、ベテランから若手に指導技術を伝えるうえで支障が出かねない。将来、教員の採用者数が年によって大きく変わることになれば、若者が安心して教員を目指すことができなくなる。その面では、都道府県・政令市の教育委員会が、年齢構成の偏りをできるだけなくすため、必要な教員の一部を任期付き教員で補充しようとしていることは理解できる。

 障害のある児童生徒が在籍する特別支援学級の急増によって、予想を超える教員数が必要になり、任期付き教員で補わざるをえない地域もあると聞く。

 3月の義務標準法の改正で、通常学級に在籍しながら障害に応じて別室でも指導を受ける「通級指導」の専任教員などを段階的に増やすことになった。教育委員会が正規教員を安定的に配置していけるよう、文科省としても努力したい。


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(2017年10月 6日 10:00)
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