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非正規教員 給料に上限 38都県 年齢や経験反映せず


2017年8月19日 読売新聞朝刊 掲載


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 公立小中学校に非正規として勤務し、担任や部活動の指導など、正規教員とほぼ同じ仕事をする臨時的教員について、38都県が、地方公務員法に基づく給料表の通りに年齢などに応じて金額が上がることがないよう、別のルールを設けて給料を低く抑えていることがわかった。総務省は、給料制度の運用に問題がある可能性を指摘している。

 

 読売新聞が今年7月、47都道府県の教育委員会に給料などについて聞いた。

 大阪府、岡山県など9道府県は、年齢や経験に応じて給料表通りに上がるが、熊本県、茨城県など38都県は、給料表とは別に、条例や内規で上限を設けていた。鹿児島県の給料表の最高は月40万5600円だが、規定により20歳代後半の給料と同程度の月22万1200円を上限としていた。

 

臨時的教員の給料表と実際の給料のイメージ

 

 こうした仕組みがある理由について、各教委の担当者は、「慣例なので分からない」と話す。臨時的教員が長く働くことを想定した処遇の仕組みが整っていないことが背景にあるようだ。

 ただ、青森や茨城、滋賀などでは、臨時的教員の約半数が上限に達している。県議会で改善を求められるなど、一部では問題が顕在化している。和歌山県教委が2015年から臨時的教員の給料の上限を引き上げるなど、見直しの動きもある。

 教員歴10年で九州地方の40歳代の臨時的教員女性の年収は上限の約250万円。「正規と変わらない責任を負いながら、今後も給料は上がらない。低収入のため自分の子どもは就学援助を受けている」と嘆く。非正規公務員問題に詳しい地方自治総合研究所の上林陽治氏は「臨時的教員が人件費抑制の手段に使われているということ」と話している。

 総務省公務員課は「そんな実態は知らなかった。地方公務員法の運用上問題になる可能性もある。途中で上限を設けるのであれば、関係する自治体は、その理由を説明する必要がある」と指摘している。

 

[MEMO] 臨時的教員

 教員免許を持ち、正規教員とほぼ変わらない職務を行う。地方公務員法の規定により1回の雇用期間は最長1年だが、年度途中で一度解雇し、繰り返し雇用される例が増えた。正規教員が出産育児などで休職する際に雇う代用教員らを除いても、全国の公立小中学校に4万1030人(2016年度)いて、定員の約7%を占めている。


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(2017年8月19日 10:00)
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