『ひとまず、信じない』[徒然読書]手段におぼれずに

読売新聞教育ネットワークの田中孝宏アドバイザーが、教員の皆さんにお薦めする本を、中央公論新社のラインナップから紹介します!

ひとまず、信じない 情報氾濫時代の生き方

押井 守 著

世界が認める巨匠がおくる幸福論の神髄。ネットが隆盛し、フェイクニュースが世界を覆う時代、何が虚構で何が真実か、その境界線は曖昧である。こういう時代だからこそ、所与の情報をひとまず信じずに、自らの頭で考えることの重要さを著者は説く。幸せになるために成すべきこと、社会の中でポジションを得て生き抜く方法、現代日本が抱える問題についても論じた、押井哲学の集大成とも言える一冊。

●初版刊行日:2017/11/9 ●新書判/200ページ ●定価:858円(10%税込)●ISBN:978-4121506016

 

手段におぼれずに

 

 フェイクニュースやSNSによる中傷など、情報の氾濫はわたしたちの社会生活に多くの悪い影響を与えている。

 

 「リアルタイムの戦争映像と戦場で実際に起こっていることは違う」

 

 著者は『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』などのアニメ監督。情報に対しての警句を伝えてくれる。

 

 学校では、インターネットなどのメディアを使って情報を調べる学習がある。書籍や新聞はともかくとして、子どもたちはネット上の情報やテレビなどの映像を、一つだけ切り取り、信じて活用する。考えてみれば、かなり危険なことである。著者の言葉通り、情報は実際に起こっていることとは違う面が多い。だから、注意深く吟味しなければいけないのだろう。それがこの本のタイトルの意味だ。

 

 スマホやネットには頼らないと言いながら、著者が見事に未来社会を題材とした素晴らしいアニメ作品を作り出せるのは何故だろう。

 

 教育者は、手段におぼれることなく子どもたちに学習することの本質を教え、楽しいという気持ちを育まなければならない。

 

 「手段が決して目的化してはいけない」

 

 わたしは、この本から多くのことについて考えを深めることができた。

元小学校長。乱読ならぬ雑読。最近は地域の図書館のホームページで検索するとメールで知らせてくれるので、それに頼りきった主体性のない本選び。「ブックぶらタナカ」を楽しんでます。

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(2021年9月 3日 16:00)
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