『「夜ふかし」の脳科学』[徒然読書]キャッチコピーの深いわけ

読売新聞教育ネットワークの田中孝宏アドバイザーが、教員の皆さんにお薦めする本を、中央公論新社のラインナップから紹介します!

「夜ふかし」の脳科学 子どもの心と体を壊すもの

神山 潤 著

日本の子どもたちの睡眠時間はここ20年で急速に短くなっており、それは子どもに深刻な影響を与えている。不眠こそが性的早熟、免疫機能の低下のほか、学力低下、攻撃性、ひきこもりなどの原因として有力視されているのだ。本書は現代の子どもの問題行動が「夜ふかし」によってもたらされた点を、最新の知見を織り交ぜて専門医がやさしく解説する。その一方で、子どもたちが眠りを取り戻すための提案も併せて行う。子どもをダメにしたものを斬新な視点から明らかにした名著。

●初版刊行日:2005/10/10 ●新書判/224ページ ●定価:946円(10%税込)●ISBN:978-4-12-150194-3

 

キャッチコピーの深いわけ

 

 早寝早起き朝ごはん。学校では必ずといっていいほど言われているキャッチコピーだ。「なんか良さそうだなぁ。悪くはないよなぁ」と思って、深く考えもせずに使い続けてきた。

 

 「子どもの心と体を健やかに育てるためには、セロトニンとメラトニンの分泌を正しく行えるようにしなければいけない」

 著者の言葉だ。

 

 昼夜が逆転した生活をしている子どもを何度か見てきた。その理由はさまざまであったが、自分の生体時間が社会の時間とかみ合わなくなれば、おのずと社会との距離が離れ、しまいには断絶しかねない。朝、太陽を浴びて起き、夜は寝て身体を休める、その生体時間を保つのが、昼のセロトニンと夜のメラトニンである。著者は熱く語る。

 

 「子どもたちの健やかな発育のために、昼のセロトニン・夜のメラトニンを高める八か条」が表にまとめられていて、保護者会などで使えるだろう。

 

 それにしても理由も知らずに「早寝早起き朝ごはん」を唱えていた自分を反省しながら本を読み進めた。ちなみに著者の神山潤氏は「子どもの早起きをすすめる会」というウェブサイトを立ち上げて活動している。

元小学校長。乱読ならぬ雑読。最近は地域の図書館のホームページで検索するとメールで知らせてくれるので、それに頼りきった主体性のない本選び。「ブックぶらタナカ」を楽しんでます。

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(2021年7月14日 09:43)
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