WS編集部より(14)「切り札」使うのはいつ?

「読売ワークシート通信」のメールマガジンから、記者コラムの一部を紹介します。

 

「切り札」使うのはいつ?


2021年2月3日

 

 夫が単身赴任になり、追い詰められたら使おう、と思っていたものを早々に使ってしまいました。

 

 家事代行です。共働きの我が家は性格と得意分野により、家事を分担していました。私は料理は好きでも、片付けは苦手。おもちゃが出しっ放しになっていても、目をつむれるタイプです。夫は仕事で遅く帰ってきても、絶対に片付けてから寝ます。そんな訳で料理は私、掃除は夫。洗濯物を畳んで私が力尽きると、タンスにしまうのも夫。いつの間にかそういう役割になっていました。

 

 それを、私が全て担うことになりました。仕事を終え、保育園に行き、夕食を作って食べさせて、男の子2人をお風呂に入れる。寝かしつけた後は、無造作に突っ込まれた本棚を直し、所々に転がるサインペンや恐竜たちを拾い、リビングを生活空間にする。平日はそれで精いっぱいです。休日にまとめて家事をしたくても、元気な2人は公園で遊ばないと気が済みません。自分の時間がなくやり残した家事が山積みで、イライラも募ります。「絵本読んで」とせがまれても、「ママはあなたたちが寝た後にやることがいっぱいあるの」と言ってしまうこともありました。

 

 家事代行を切り札と思い込んでいた理由は、できないことへの罪悪感や金銭的な負担からです。しかしプロの技はすばらしい。キッチン周りや洗面所の鏡もピカピカで、気になる負担も1時間2000円ほど。今は必要な投資だと、迷いは消えました。

 

 何よりも、子どもと笑い合う時間が増えました。気づいたのは、心に余裕を持つ大切さです。子どもたちと日々向き合う先生の方が、実感していることかもしれません。兄弟げんか、牛乳をこぼす、床に絵を描く......、ちょっとしたトラブルでも諭す言葉が変わってきます。

 

 気になるのは夫の反応でした。2週間ぶりに帰宅して「部屋がきれい」と驚く夫に打ち明けると、「もっと早くから頼めば良かったのに」と賛成されて拍子抜け。共働き家庭が増え、家事負担の不公平感が話題に上る今、「できて当たり前」と眉をひそめる価値観のほうが時代遅れなのかもしれません。(勝)

 


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(2021年2月12日 10:35)
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