2030 SDGsチャレンジ

くらしにSDGs

自動運転バスで守る「地域の足」(東京・江戸川区立鹿骨東小学校)

 

 運転する人がいなくても、お客さんを乗せて走ることができる自動運転バス。私たちの毎日の生活に欠かせない路線バスを守るための切り札として注目されています。そんな自動運転バスについて一緒に考えようという出前授業が、東京都江戸川区の区立鹿骨東小学校で行われました。

 

少子高齢化 バス路線にも影響

 

 「みんな、少子高齢化って聞いたことあるよね?」

 

 4年3組の子どもたちに向かって語り掛けるのは、岩本雅也さんです。岩本さんが勤めている「芙蓉総合リース」という会社は、全国の市や町などに自動運転バスを貸し出して、くらしに役立ててもらうための実験を進めています。この日は、岩本さんのほかに山田直輝さん、竹内美羽さんも先生として、3クラスそれぞれで授業を行いました。

 

 自動運転バスと地域の暮らしについて説明する岩本雅也さん

 

 今、日本では、バスを運転する人が減り、身近な生活の足である路線バスを守ることができなくなっています。「路線バスの本数が減らされた」とか、「路線が無くなってしまった」などというニュースを耳にしたことがある人もいるでしょう。人口が減ればバスを利用する人が減って、バス会社は困ってしまいます。また、バスに乗りたい人がいても、運転する人がいなかったら、バスを走らせることができなくなってしまいます。

 

 

 「バスに乗ったことがある人?」

 

 担任の清田葉月先生が子どもたちに尋ねると、次々に手が上がります。鹿骨東小学校は都営新宿線の篠崎駅から歩いて15分ほどのところにあり、学校の近くには、篠崎駅とJR総武線の新小岩を結ぶ路線バスのバス停もあります。習い事に行ったり、休日に家族との外出に使ったりと、子どもたちにとっても、路線バスは身近な存在です。

 

「みんなのための」バス路線考える

 

 「会社に行く人」「お年寄り」「赤ちゃんを連れたお母さん」――。子どもたちがイメージするお客さんは様々です。自分たちの町に自動運転のバスを走らせるとしたら、だれのためのバスにしたいか、車内でどんなことができるといいのかな?グループに分かれた子どもたちは、真剣な表情で話し合います。自動運転バスには運転手がいないので、運転席のスペースも含めて、広々と使うことができます。

 

 

 子どもたちにアドバイスする竹内美羽さん

 

 「小さい子って、すぐにトイレに行きたがるから、トイレがあるといいよね」

 

 「習い事に行くのに使いたい。バスの中で宿題もできる!」

 

 2コマを使って行われた授業の最後には、それぞれのグループが考えたバスの特徴と、コースを発表しました。「小さい子たちのために、保育園や幼稚園から公園やスーパーを通って、病院に行けるようにしたい」という意見や、「みんなで旅行できると楽しい。京都を通って金沢に行きたい」という観光バスをイメージした意見など、子どもたちからはたくさんのアイデアが上がります。

 

 

 自動運転バスの仕組みを説明する山田直輝さん

 

 「自分たちのため、だけではなく、ほかの誰かのため」。子どもたちが考えたバスのあり方です。私たちの身近なくらしの足である路線バスを守っていくためには、地域の人たちみんなが知恵を絞ることが大切です。自動運転という新しい技術を、どうすれば毎日のくらしに役立てて、自分たちのまちを住み続けられる街にしていけるのか。難しいけれど、大切なテーマが、子どもたちの胸にしっかりと刻まれました。

 


(2024年2月21日 00:00)
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