2030 SDGsチャレンジ

@スクール・学校の取り組み

里山整えホタル育生(茨城・水戸英宏小中学校)

ぬかるみに土などをまいて整備する子供たち(10月、水戸市内で)=水戸英宏小中学校提供

 

茨城 水戸英宏小中学校・長山晃先生

 水戸市内を流れる一級河川・桜川やその支流・逆川周辺で、大勢の市民がホタル再生活動に取り組んでいます。本校に隣接する桜川周辺の雑木林でも児童生徒が参加して里山を整備し、ホタルのすめる泉に再生しました。10月16日には、児童・生徒、教職員をはじめ、地元ボランティアの方など約50人が恒例の除草作業などに汗を流しました。

 

 きっかけは、2011年の東日本大震災後、その林でわき水が見つかったことです。かつてはホタルの舞う湿地帯だったため、14年に「ホタルネットワークmito」を地元の人たちと一緒に結成し、茨城県から雑木林を借り受けてホタルの再生活動を本格的に始めました。

 

 本校の児童・生徒たちは、隣接の雑木林で地元ボランティアの人たちと協力して木を間伐したり、放置自転車やタイヤなどの廃棄物を運び出したりして14年にひとまず里山に整えました。「黄門様のホタル」と呼ばれるゲンジボタルの幼虫は、徳川光圀ゆかりの寺から「ホタルネットワークmito」に参加する地元ボランティアの方を通じて譲り受け、15年、ホタルの生育に成功しました。

 

 この里山は、18年からセブン―イレブン記念財団や県と協力する形で、「英宏の泉」と名付けられた泉を中心に、約6ヘクタールのビオトープになっています。

 

 今は毎年、春と秋になると、この里山を児童生徒が地元ボランティアの方々と一緒に大人数で整備しており、16日は、除草作業のほか、ぬかるみに土や木くずなどをまいて人が通れるようにしたり、遊歩道を整備したりするなど、3時間かけて心地よいビオトープに整えました。絶滅危惧種のホトケドジョウやヤツメウナギ、ザリガニやサワガニなど自然豊かな里山には多様な生物が生息していて、子どもたちは生き物を見つけると大喜びで、楽しみながら里山を整備しています。

 

 里山整備には在校生だけでなく、「いろいろな人の協力があって再生できた里山とホタルを守り続けたい」と卒業生も参加し、水戸の自然を愛する人たちの大きな運動になっています。生徒たちは継続の手ごたえを実感しています。

 

「英宏の泉」で行われた草刈りなどの環境整備活動(10月)=水戸英宏小中学校提供
「英宏の泉」で乱舞するホタル(今年6月)=水戸英宏小中学校提供

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(2021年10月28日 16:42)
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