マイクロプラスチック研究で環境守る(八戸工業大学第二高等学校)

区画を決め、学校近くの海岸で砂を採取する高校生たち=田代先生提供

 

八戸工業大学第二高等学校(青森県八戸市)・田代誠先生

 本校の科学愛好会に所属する高校の生徒たちが、魚や人体に害を及ぼすマイクロプラスチック(5mm以下のプラスチック片)の除去方法を探るため、学校近くの砂浜で砂を採取して調べています。八戸市には、種差海岸や蕪島など美しい砂浜があり、水産業も盛んです。生徒たちにとって海は身近な存在で、科学愛好会は昨年、「マイクロプラスチック」をテーマに決めました。

 

 砂浜で採取した砂を海水に浸けると、マイクロプラスチックが浮いてきます。それを乾燥させて質量を計測します。昨年は八戸工業大の鶴田猛彦教授や先日、お亡くなりになった橋詰豊准教授、卒業生で同大大学院生の宮里匠さんからアドバイスをいただき、地道な作業をやり遂げることができました。

 

 プラスチックには、生き物に有害な物質も含まれています。生徒たちは、紫外線に当たることでプラスチックの劣化が進み、海にとけ出す過程を研究することなどで、自分たちでできる具体的な取り組みにつなげようとしています。

 

 今はマスクが手放せない時ですが、市販されている使い捨てマスクのほとんどはプラスチック製です。生徒たちは、ポイ捨てされたマスクがマイクロプラスチックとなり環境を破壊することに心を痛めています。海岸の清掃活動に力を入れ、文化祭や学校webサイトなどでポイ捨てをしないよう呼びかけることを考えています。海を守りたいという思いにあふれ、「つくる人、つかう人、それぞれの力を集めることが必要なんだ」と言いながら活動を続ける生徒たちが、どんな答えを出してくれるか、これからますます楽しみです。

学校近くの海岸で砂を採取する高校生たち=田代先生提供

 

CHECK!新アイデアとネットワークづくりに期待

 マイクロプラスチックを除去する新しい技術革新に挑む。素晴らしい取り組みです。目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の目指している方向だと思います。今あるシステムをどう変えていくかだけでなく、今はない全く新しい技術の開発によって問題を解決しようとすることは、とても重要なことです。新しいアイデアや知恵のネットワークを作っていけると良いですね。期待が持てます。

読売新聞東京本社 教育ネットワーク・アドバイザー 田中 孝宏


(2021年6月 1日 14:20)
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