持続可能な未来 ゲームで考える(千葉県立成田国際高校)
プロジェクトの進め方をグループで話し合う生徒たち
千葉県立成田国際高校・石毛一郎先生
ゲームを使って、SDGsを学ぶ地理の授業を2、3年の年度初めなどに行っています。高校生が「持続可能な未来」について考えるきっかけとなっています。
使っているのは、2030年の世界がどうなっているかをシュミレーションするゲーム「2030SDGs」=一般社団法人「イマココラボ」(東京)制作=で、与えられたお金と時間を使い、2030年までの世界を参加者全員でつくります。クラスの仲間たちとの体験を通して、SDGsの基本的な考え方を学ぶ手法の1つです。
まず、「環境の保護」「貧困の解消」「富」など、さまざまな価値観から1つを選んだ上で、交通インフラの整備、慣習的性差別の見直しなど、100を超えるプロジェクトの中から与えられたものを進めます。プロジェクトを実行するごとに、経済・環境・社会という各分野の数値が刻々と変わり、現れる2030年の世界状況も変わります。
前回行った授業では、どのクラスも大変盛り上がりましたが、「交通インフラの整備」などのプロジェクトを選んで経済分野は大きく数値を上げた一方で環境分野の数値はマイナスとなる結果となり、生徒たちは頭を抱える場面もありました。授業後、「人と連携しなければ未来は作れないことに気づかされた」などと生徒たちは話し、石けんを自然にやさしいタイプのものにする大切さに気づいたり、プラスチックごみを減らすことを考え始めたりした生徒もいました。
来春から始まる高校の新学習指導要領では、すべての教科・科目でSDGsを学びます。今後も楽しくSDGsに触れるこうしたゲームを生かし、生徒たちにSDGsについて考えを深めていってもらえればと願っています。
ゲームの結果を振り返る石毛先生(昨年9月) |
CHECK!ゲーム、いい動機付けに
SDGsについてたくさんの本が本屋に並ぶようになりました。ラジオやテレビでも番組が作られたり、特集が組まれたりしています。ユーチューブにも様々なコンテンツが流れています。SDGsのきっかけは、様々なところで得られます。この学校では、ゲームをSDGsに取り組むきっかけとしました。生徒の興味関心が高まり問いづくりにはとても良い動機付けです。SDGsってこんなことかと生徒が気づいた時「みなさんの身の回りで解決すべき課題は何だろう?」と、じぶんごとにしてあげましょう。
読売新聞東京本社 教育ネットワーク・アドバイザー 田中 孝宏