【SDGs@スクール】核廃絶を訴え続けて
世界各地ではいまも紛争が続いている。人類の争いを防ぐためには何をすべきなのか。長崎県では高校生平和大使が、核兵器廃絶に向けて、署名活動に取り組んでいる。
今年、運動に取り組んだのは、第22代高校生平和大使の内山洸士郎さん(17)(長崎・鎮西学院高3年)ら高校生たち。SDGsの目標16「平和と公正をすべての人に」を目指した活動を続けてきた。毎年8月、軍縮会議が開かれる国連欧州本部(スイス・ジュネーブ)に核兵器廃絶を求める署名を提出してきたが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で渡航のめども立たない。活動は岐路に立たされたが、内山さんらは、「このまま活動を縮小させてはいけない」と考え、インターネット上に活動の場を広げた。
その一つが「デジタル署名」集め。平和大使の公式サイト上に特設コーナーを置き、そこで署名を集めている。サイトに簡単にアクセスできるQRコードを印刷した告知カードも約3万枚用意した。困難な状況であっても歩みを止めなければ、平和を希求する思いが、未来を切り開いてくれる。そう信じている。
7月には内山さんの次の世代の高校生28人が「第23代」の平和大使に就任した。そのうちの一人で被爆4世の大沢新之介さん(17)(鎮西学院高2年)は、「同世代の関心は低いが、それを変えていきたい」と語る。活動を支援する市民団体「高校生平和大使派遣委員会」の平野伸人共同代表(73)は「高校生が一筆ずつ署名を集めるという努力が尊い。制約がある状況だが、粘り強く頑張ってほしい」とエールを送る。
■取材記者の「眼」
結果はすぐに表れるわけではないが、平和を願い、汗を拭い、素通りや無関心にもめげず、署名を呼びかける姿には心が打たれた。今年は戦後75年。当時を知る人は少なくなるが、平和を希求する若者の「たすき」は、つながっていってほしいと願う。(桂)