姫路木綿の復活 防災グッズ考案も(兵庫・姫路市立豊富小中学校)
豊富小中学校6年生がタオルで作った防災スリッパ
兵庫県姫路市立豊富小中学校・山下雅道校長
姫路木綿の復活と防災教育を合わせた「姫路木綿防災プロジェクト」に取り組んでいます。姫路木綿を6年生が苗から育てて調べ、身近な綿から防災スリッパ、マスクを作ることができることなど防災に役立つことを学んでいく総合学習です。
姫路木綿は江戸時代の姫路藩の名産品で、薄くて柔らかい上質な木綿として全国各地で人気になりました。明治以降衰退しましたが、最近は地元の人たちが「姫路木綿復活の会」を作り、復活をめざして本格的に栽培を始めました。本校では、この会から苗をいただき育てつつ、お話をうかがい、綿についての「なぜ」を調べました。
また、防災について考える民間団体「ひめじ防災ラボ&スタディ」の防災士の方を招き、防災ゲーム「なまずの学校」(NPO法人プラス・アーツ作)を通して、防災グッズについて考えを深めました。綿から防災グッズができることを学んだ児童たちは、3月に行った姫路市立旭陽(きょくよう)小児童との合同発表会で、各クラスの代表者が自分たちで考えた防災グッズを発表、綿から作った手作りの綿棒、スリッパ、マスクの作り方や使い方を丁寧に説明しました。旭陽小学校の児童からは、バケツリレーの仕方、カーテンを利用した担架の作り方などの発表がありました。児童は、綿育成を通じて防災への意識を高めてくれたと感じています。(写真は豊富小中学校提供)
旭陽小児童が作った担架の様子を見守る豊富小中学校6年の児童たち |
姫路木綿とハンカチを使ったマスク |
豊富小中学校6年生がつくった綿棒 |
CHECK!地域のリソース活用
この実践例には、SDGsをじぶんごとにする時の2つの方法が示されています。ひとつは、身近な地域にあるリソースを活用することです。地産地消に代表されるようにすぐ手に入れられて古くからの活用例があるものは、じぶんごとにしやすいです。もうひとつは、従来学校で行われている○○教育という課題学習の中にSDGsの目標をからませることです。今回は防災教育です。実は、これら○○教育は現代課題の中から生まれたものが多く、SDGsの目標に合致するからです。
読売新聞東京本社 教育ネットワーク・アドバイザー 田中 孝宏