4月3日読売新聞朝刊掲載「感染症 どう防ぐ?」の解説ページです。「新聞@スクール 月刊ワークシート」は毎月初旬に連載中!
【質問】(2)記事やグラフを見て、風疹についてわかったことを整理しましょう。
風疹が流行しているというニュースは、昨年の秋頃からよく聞きますね。4月2日の読売新聞夕刊に、「風疹 今年1000人超す」という見出しの記事がありました。
国立感染症研究所は、3月24日までの風疹患者累計が1033人になったと発表しました。新規の患者数が最も多いのは、東京で26人。神奈川、埼玉、大阪、兵庫と続き、計18都道府県で患者が出ているそうです。
ワークシートの「DATA 年間の風疹患者数」を見てわかるように、2018年の年間患者数は2917人になっています。年をまたいで、流行が続いています。2008年以降では、2012年の2386人を超え、患者数が1万人以上になった2013年の流行に次ぐペースなのですね。
やっぱり、「流行している」ってことですね。風疹って、どんな病気なんですか?
今年の1月13日・20日、そして2月3日の読売新聞朝刊(群馬)の「教えてDr.」を参考に、説明しますね。
群馬県衛生環境研究所の猿木信裕所長によると「ウィルスで感染する病気で『三日はしか』とも呼ばれていました。せきやくしゃみ、会話で飛んだつばに接触することで感染します。飛沫感染と言います。感染力は麻しん(はしか)よりは弱いですが、インフルエンザよりも強いです」
風疹にかかると、どんな症状が出るんですか?
猿木所長によると「発疹と発熱、耳や首の後ろにあるリンパ節の腫れという三つが主な症状です。潜伏期間は2~3週間で、熱は38度にもなることがあります。ただ、感染しても明らかな症状が出ないで免疫ができてしまう人が2、3割います」
風疹は、感染症法に基づいて、医師が風疹を診断したら、保健所に届け出る義務があるのですよ。
風疹の流行が騒がれるのはなぜですか?
ワークシートのインタビュー記事を読んでみましょう。可児佳代さんがご自分のつらい体験を話してくださっています。風疹の免疫のない女性が、妊娠初期に感染すると、おなかの赤ちゃんに影響がでる場合があるからなのです。
どんな影響ですか?
生まれながらに、主に、白内障などの目の病気、難聴、心臓の奇形などの症状がでるそうです。これを「先天性風疹症候群(CRS)」と言います。
可児さんも話していますが、2012~2013年の流行時には、45人の赤ちゃんが先天性風疹症候群になってしまったという報告があります。
こういうことを起こさないために、どうしても流行を防がなければならないのですね。
流行を防ぐには、どうしたらいいですか?
風疹はワクチン接種で防ぐことができるんです。そのワクチンの接種状況は、
■1990年4月以降に生まれた人は、1歳と小学校入学前の計2回、麻疹(はしか)と風疹の混合ワクチンの無料接種を受けています。
■1990年4月以前に生まれた人は、幼児期や中学生の時に1回だけ接種を受けた人が多く、1979年4月以前に生まれた男性は、ワクチン接種を受けていません。
■現在39歳から56歳の男性は抗体をもっている割合が80%を下回っていて、今回の患者の多くを占めています。
だから、2019年から3年間、39歳から56歳の男性の抗体検査、ワクチン接種を原則無料で行うことを発表したのですね。
妊娠中はワクチン接種ができないので、周囲の人たちが感染をさせないようにしなければなりません。
風疹のワクチンの接種をしたかどうかあやしいときは、「母子手帳」で確かめたり、市町村の担当窓口で相談できるそうです。
【質問】(3)なぜ「予防接種」があるのでしょうか。考えたことを書きましょう。
ワクチンで防げる病気のことを「VPD」というそうです。イラストに「ワクチンで予防できる感染症」の表がありますけれど、このことですね。ここに、インフルエンザも風疹も麻疹(はしか)も入っています。
3月16日の新聞には、麻疹(はしか)の流行についての記事があります。これらの病気で、今も日本では、子どもも大人も苦しんだり、後遺症をもったり、亡くなったりしているそうです。
世界中には、とても多くの感染症がありますが、その中で、予防のために開発されたワクチンがあるVPDは少ないのだそうです。ワクチンを接種しなければ予防できないのです。でも、予防できる方法があるなら、活かしたいですね。
麻疹(はしか)については、世界的に感染が拡大していると新聞に書いてありました。東南アジアやフランスやイタリアでも多いそうです。
外国からの観光客や帰国者が、ウイルスを持ち込んでしまう可能性が大きいのですね。厚生労働省では、「渡航する人などは、予防のためにワクチン接種を検討してほしい」と呼びかけています。
ワクチンを接種する大切な目的を、記事を読んでまとめてみました。
■自分がかからないために
■もしかかっても症状が軽くてすむために
■まわりの人にうつさないために
自分のため、そして、自分のまわりの大切な人たちを守るために、ですね。予防接種は、自分だけでなく、社会全体を守る役割もあるのだということが今回よくわかりましたね。
【参考記事】
■医療なび インフルエンザ大流行の反省 ワクチン供給仕組み見直し(2018年8月22日 読売・朝刊)
■医療ルネサンス 風疹で障害 体験を発信(2018年12月18日 読売・朝刊)
■風疹39歳以上男性ワクチン無料で(2018年12月20日 読売KODOMO新聞)
■教えてDr. 風しん(2019年1月13日・1月20日・2月3日 読売・朝刊 群馬)
■インフルエンザ全国で猛威(2019年1月26日 読売・朝刊)
■社説「インフル大流行」(2019年1月26日 読売・朝刊)
■インフルエンザ猛威(2019年1月31日 読売KODOMO新聞)
■《スキャナー》風疹 働き盛りに接種(2019年2月6日 読売・朝刊)
■はしか200人超す(2019年2月26日 読売・夕刊)
■はしか患者250人超え(2019年3月5日 読売・夕刊)
■社説「はしか流行」(2019年3月16日 読売・朝刊)
■風疹なお流行(2019年3月19日 読売・夕刊)
■風疹今年1000人超す(2019年4月2日 読売・夕刊)
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