「真夏の応援 熱中症注意」 月刊ワークシート vol.16

7月3日読売新聞朝刊掲載「真夏の応援 熱中症注意」の解説ページです。「新聞@スクール 月刊ワークシート」は毎月初旬に連載中!


【質問】(4)今年の夏を元気に過ごすため、「わたしの熱中症対策」を家族や友達に伝え、皆で考えましょう。


昨年の出来事なんですけど、テニス部の大会に応援に行ったときのことでした。みんなの応援がすごく盛り上がって楽しい一日でした。ところが、帰るときに、友達が「頭が痛い」と言って動けなくなったんです。

 

顔色がとても悪く、気分も悪そうだった。「寒い」と言ってガタガタ震え出して。引率の先生が大会運営の先生に相談して、すぐに救急車を呼び、病院に搬送。そこで点滴を受けるなどの処置をしたところ、すぐに回復したそうです。

 

お友達は熱中症になったのですね。その日はどんな日だったの?

 

梅雨が明けて、急に暑くなった日だったかな。そう言えば、その子はあまり水を飲んでいなかった。水筒を忘れたと言っていたから、「のどが渇いたら水筒を貸すよ」って話していたんだけど。

 

やはり梅雨明けでしたか・・・それに、水筒の件、遠慮もしたのね。熱中症は梅雨明けなど、急に暑くなった時に発症する傾向があるらしいです。体が暑さに慣れていないためなんですね。暑さに体を慣らすことが大事なんですよ。熱中症は、応援している人も注意しなければならないのです。

 

すごく暑い時だけが危険というわけではないのですね。今年もこれからが注意ですね。

 

熱中症かな、と思われる時の症状は

〇足や手が痙攣(けいれん)したり、つったりする。

〇体がひどくだるい。めまい、吐き気、嘔吐、頭痛などが起こる。

〇顔色が青くなる。

〇ふらつく、転ぶ、突然座り込む。立ち上がれない。

お友達は、このような症状が出ていたのですね。

 

しばらく、涼しい部屋で、洋服を緩めたりして、休んでいました。スポーツドリンクなども飲ませたって。でも、なかなか回復しなかったので、救急搬送になったと聞きました。

 

適切な対応だったと思いますよ。重症になると、「ここはどこ?」「お名前は?」などと質問しても、応答が遅かったり、言動がおかしかったり、意識がなかったりするんです。このような場合は、すぐに救急隊を要請しなければなりません。体を冷やしながら応急手当をして、救急隊を待ちます。

 

怖いんですね。そう言えば、暑さが厳しい季節は、「健康管理自己チェックリスト」をつけているという学校の話を聞いたことがあります。

 

意識的に「熱中症予防」に取り組んでいる学校ですね。学校には、WBGT(湿球黒球温度)を簡便に測定する指標計を備えるようになってきました。この数値による「熱中症予防運動指針」があります。

 

運動は原則禁止】WBGT31℃以上。特別の場合以外は運動を中止

厳重警戒】WBGT28℃以上。激しい運動は中止

警戒】WBGT25℃以上。積極的に休息

注意】WBGT21℃以上。積極的に水分補給

ほぼ安全】WBGT21℃未満。適宜水分補給

※「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(公益財団法人日本スポーツ協会)平成25年4月改訂

 

WBGT(湿球黒球温度)って何ですか?

 

温度環境を評価する指標です。WBGTとは、暑さや寒さに関係する「気温」「湿度」「輻射熱(ふくしゃねつ)」「気流」の4の要素を取り入れた指標です。

 

「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」によると、

〇環境条件の評価にはWBGTが望ましい。

〇乾球温度を用いる場合には、湿度に注意する。湿度が高ければ、1ランク厳しい条件の運動指針を適用する。

というような記述もあります。

 

 「平成30年度スポーツ庁委託事業 学校における体育活動での事故防止対策推進事業『熱中症を予防しよう~知って防ごう熱中症~』(独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部)平成31年3月発行のパンフレットを参考にしてみてください。

 

新聞には、高校野球や、2020東京五輪に関する暑さ対策の記事も多く載っていますね。

 

 

第101回全国高校野球選手権大会(8月6日開幕)では、甲子園球場のアルプス席と外野席の通路に計28台のエアコンを増設し、アルプス席の床面には遮熱塗装を施したそうです。また、大会中は応援団用の休憩所を開設、アルプス席外周で待機する応援団のために日よけ用テントを設置するそうです。昨年と同様、選手たちの給水タイムも継続です。

 

2020年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として、東京都が、頭にかぶるタイプの日傘を製作したというニュースもありましたね。かぶり笠のように頭に載せて使うもので、遮光性や遮熱性のある素材を使用。両手があくので、スポーツ観戦などがしやすいと言っていました。

 

政府と東京都などは、障害のある方たちの熱中症対策を強化する方針を固めました。車椅子利用者や体温調節に課題を抱える方たちには特別な配慮がいると判断し、優先的に入場を可能にすることなどを検討するそうです。

 

7月から9月に行なわれる大会では、観客の熱中症対策は最大の課題の一つです。組織委員会や各省庁では、今年の夏に実施される、会場の運営体制を確認するテスト大会で、日よけテントや大型冷風機の設置、うちわの配布などを試行する予定です。

 

今年の夏は、この「熱中症対策5か条」でがんばります。

1.体調を整える(早寝早起き、朝食をしっかり食べる)

2.涼しい服装をする

3.帽子を忘れない

4.水分補給は大事(外出するときは水筒は必需品、塩の飴も持つ)

5.クーラーの効いたところばかりにいない

 

いいですね。とても参考になります。アットス君の「熱中症対策5か条」で、この夏を元気に、楽しく過ごしてくださいね。

 

【参考記事】

■屋外エアコンで快適に(2019年2月15日 読売大阪・朝刊)

■通路にエアコン増設(2019年4月18日 読売東京、読売大阪・朝刊)

■鳥の目 虫の目「猛暑の総体 対策急げ」(2019年5月22日 読売・朝刊)

■かぶる日傘 効果のほどは?(2019年5月29日 読売・朝刊)

■五輪・パラ 障害者優先入場検討へ(2019年5月30日 読売・朝刊)

■地方大会熱中症対策 高野連が初の助成金(2019年6月6日 読売大阪・朝刊)

 

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(2019年7月 2日 17:05)
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