7月3日読売新聞朝刊掲載「真夏の応援 熱中症注意」の解説ページです。「新聞@スクール 月刊ワークシート」は毎月初旬に連載中!
【質問】(4)今年の夏を元気に過ごすため、「わたしの熱中症対策」を家族や友達に伝え、皆で考えましょう。
昨年の出来事なんですけど、テニス部の大会に応援に行ったときのことでした。みんなの応援がすごく盛り上がって楽しい一日でした。ところが、帰るときに、友達が「頭が痛い」と言って動けなくなったんです。
顔色がとても悪く、気分も悪そうだった。「寒い」と言ってガタガタ震え出して。引率の先生が大会運営の先生に相談して、すぐに救急車を呼び、病院に搬送。そこで点滴を受けるなどの処置をしたところ、すぐに回復したそうです。
お友達は熱中症になったのですね。その日はどんな日だったの?
梅雨が明けて、急に暑くなった日だったかな。そう言えば、その子はあまり水を飲んでいなかった。水筒を忘れたと言っていたから、「のどが渇いたら水筒を貸すよ」って話していたんだけど。
やはり梅雨明けでしたか・・・それに、水筒の件、遠慮もしたのね。熱中症は梅雨明けなど、急に暑くなった時に発症する傾向があるらしいです。体が暑さに慣れていないためなんですね。暑さに体を慣らすことが大事なんですよ。熱中症は、応援している人も注意しなければならないのです。
すごく暑い時だけが危険というわけではないのですね。今年もこれからが注意ですね。
熱中症かな、と思われる時の症状は
〇足や手が痙攣(けいれん)したり、つったりする。
〇体がひどくだるい。めまい、吐き気、嘔吐、頭痛などが起こる。
〇顔色が青くなる。
〇ふらつく、転ぶ、突然座り込む。立ち上がれない。
お友達は、このような症状が出ていたのですね。
しばらく、涼しい部屋で、洋服を緩めたりして、休んでいました。スポーツドリンクなども飲ませたって。でも、なかなか回復しなかったので、救急搬送になったと聞きました。
適切な対応だったと思いますよ。重症になると、「ここはどこ?」「お名前は?」などと質問しても、応答が遅かったり、言動がおかしかったり、意識がなかったりするんです。このような場合は、すぐに救急隊を要請しなければなりません。体を冷やしながら応急手当をして、救急隊を待ちます。
怖いんですね。そう言えば、暑さが厳しい季節は、「健康管理自己チェックリスト」をつけているという学校の話を聞いたことがあります。
意識的に「熱中症予防」に取り組んでいる学校ですね。学校には、WBGT(湿球黒球温度)を簡便に測定する指標計を備えるようになってきました。この数値による「熱中症予防運動指針」があります。
【運動は原則禁止】WBGT31℃以上。特別の場合以外は運動を中止
【厳重警戒】WBGT28℃以上。激しい運動は中止
【警戒】WBGT25℃以上。積極的に休息
【注意】WBGT21℃以上。積極的に水分補給
【ほぼ安全】WBGT21℃未満。適宜水分補給
※「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(公益財団法人日本スポーツ協会)平成25年4月改訂
WBGT(湿球黒球温度)って何ですか?
温度環境を評価する指標です。WBGTとは、暑さや寒さに関係する「気温」「湿度」「輻射熱(ふくしゃねつ)」「気流」の4の要素を取り入れた指標です。
「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」によると、
〇環境条件の評価にはWBGTが望ましい。
〇乾球温度を用いる場合には、湿度に注意する。湿度が高ければ、1ランク厳しい条件の運動指針を適用する。
というような記述もあります。
「平成30年度スポーツ庁委託事業 学校における体育活動での事故防止対策推進事業『熱中症を予防しよう~知って防ごう熱中症~』(独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部)平成31年3月発行のパンフレットを参考にしてみてください。
新聞には、高校野球や、2020東京五輪に関する暑さ対策の記事も多く載っていますね。
2020年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として、東京都が、頭にかぶるタイプの日傘を製作したというニュースもありましたね。かぶり笠のように頭に載せて使うもので、遮光性や遮熱性のある素材を使用。両手があくので、スポーツ観戦などがしやすいと言っていました。
今年の夏は、この「熱中症対策5か条」でがんばります。
1.体調を整える(早寝早起き、朝食をしっかり食べる)
2.涼しい服装をする
3.帽子を忘れない
4.水分補給は大事(外出するときは水筒は必需品、塩の飴も持つ)
5.クーラーの効いたところばかりにいない
【参考記事】
■屋外エアコンで快適に(2019年2月15日 読売大阪・朝刊)
■通路にエアコン増設(2019年4月18日 読売東京、読売大阪・朝刊)
■鳥の目 虫の目「猛暑の総体 対策急げ」(2019年5月22日 読売・朝刊)
■かぶる日傘 効果のほどは?(2019年5月29日 読売・朝刊)
■五輪・パラ 障害者優先入場検討へ(2019年5月30日 読売・朝刊)
■地方大会熱中症対策 高野連が初の助成金(2019年6月6日 読売大阪・朝刊)
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