「プラごみ退治で海救え」 月刊ワークシート vol.24【最終回】

3月4日読売新聞朝刊掲載「プラごみ退治で海救え」の解説ページです。


【質問】(3)インタビューにある「海の汚染を防ぎ、暮らしを守る対策」について、どのように考えますか。あなたの提案を書きましょう。


 

プラスチックがない生活を思いながら、身のまわりにあるものを見てみました。歯ブラシ、歯磨きチューブ、液体せっけんの入れ物、ボールペンやシャープペンシル、お菓子の包装フィルム・・・冷蔵庫や電子レンジ、テレビもだ。

 

どれもこれもプラスチックが使われている!生活にプラスチックは欠かせなくなっているということが、よく分かりました。だから、考えなくてはいけない問題なんだ!

 

この問題を考えるとき、アットス君のように、プラスチックが、どこにどんな製品として使われいるか、まず調べることはとっても大事。

 

ところで、プラススチックは、なぜ、こんなに使われているのだと思う?

 

プラスチックのよさですね。思いつくままに挙げてみると、

 ・軽くて丈夫

 ・さびない

 ・熱に強い

 ・衛生的

 ・水が漏れない

調べてみれば、まだ、たくさんありそう・・・

 

プラスチックがいろいろな場面で使われているのは、たくさんの「よさ」があるからなんですね。しかし、今回の記事にあったように、便利だからと言ってこのまま対策を怠っていくと、2050年までに、海の中のプラスチックごみの総重量が魚を上回ってしまうのです。

 

つまり、環境問題を考えたとき、プラスチック製品はなるべく造らず、使わない方がいいということだな。頭ではわかるけれど、行動は難しい。

 

この海洋プラスチックごみ問題について、地球規模での環境汚染が国際的に心配されているのを受けて、昨年(2019年)6月に開催されたG20では、議長国の日本が議論をリードするために、「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」を出しました。

 

プラスチックを有効活用することを前提として、新たな汚染を生み出さない世界の実現を目指すアクションプランだと聞きましたけれど・・・

 

そうです。そこでは次のような取り組みの徹底を挙げています。抜き出してみますね。

1. まず、廃棄物処理制度によるプラスチックごみの回収・適正処理をこれまで以上に徹底するとともに、ポイ捨て・不法投棄及び非意図的な海洋流出の防止を進める。

2. それでもなお環境中に排出されたごみについては、まず陸域での回収に取り組む。さらに、一旦海洋に流出したプラスチックごみについても回収に取り組む。

3. また、海洋流出しても影響の少ない素材(海洋生分解性プラスチック、紙等)の開発やこうした素材への転換など、イノベーションを促進していく。

4. さらに、我が国の廃棄物の適正処理等に関する知見・知識・技術等を活かし、途上国等における海洋プラスチックごみの効果的な流出防止に貢献していく。

5. 世界的に海洋プラスチック対策を進めていくための基盤となるものとして、海洋プラスチックごみの実態把握や科学的知見の充実にも取り組む。

 

この機会に、環境省のウェブサイトで「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」(2019年5月31日)を読んでみるといいですね。

 

2030年までに達成すべき世界の17の「宿題」を設定したSDGs(持続可能な開発目標)が、2015年に国連で決められましたよね。目標14「海の豊かさを守ろう」を考えるときに、今回のテーマは重要だと思いました。

 

そうなんです。「このすばらしい旅の始まりに僕たちは誓うよ。誰ひとり取り残しはしないと」という宣言とともに、2015年、人類の「旅」は始まりました。

 

それが「SDGs」達成への旅です。どうすれば誰も取り残さず幸せになるかを考える、それが私たちの「旅」。

 

「今より良い生活がしたい」という欲望だけで進む時代ではなくなりつつあるということですね。

 

もっとみんなが暮らしやすい世界にするには、どうしたらいいか考えることが求められているんですね。

 

「欲望より暮らしやすさ」です。環境生態工学に詳しい東北工業大学(仙台市)の山田一裕教授が、2020年1月25日に盛岡で行われたフォーラムで、「(海洋)ごみ問題は命にかかわる問題になっている。今、消費者は向き合うべきだ」と強調しています。

 

企業も頑張っていますよ。2019年7月25日読売KODOMO新聞に掲載されていますが、SDGs達成には企業の取り組みも欠かせません。LIXILやパナソニック、シチズンなど、様々な企業の取り組みについて調べてみましょう。

 

「廃プラ」に目を向けて、世界の若者たちが行動していますね。タイの12歳の少女による廃プラ削減の訴えが企業や政府を動かし、企業がレジ袋の使用について考えたり、政府が「温暖化」の授業の検討をしたりしたというニュースを新聞で読みました。(2019年12月17日読売新聞・朝刊)

 

アメリカのコーヒーチェーン大手「スターバックス」がプラストロー廃止に踏み切った、そのきっかけをつくった18歳の女子高校生のニュースもありましたね。(2018年12月14日読売中高生新聞)

 

若者の力って大きいのです。アットス君は、今回のテーマについて、どんなことを今考えている?

 

まず、一人一人が「脱プラ」「廃プラ」を意識し行動することが必要だと思っています。自分事として考えなくてはと思いました。

 

外で食事をしたり、物を買ったりするときも、「脱プラ」「廃プラ」に取り組んでいるお店を探して行こうと考えています。

 

その行動力、皆さんに紹介したいですね。

 

すごいなぁと思った記事があります。京都府の高校生のグループが、地元特産の「天王柿」に着目、柿渋に含まれる「カキタンニン」を活かし、企業と協力してプラスチック袋の代替品となる紙袋を作ったという記事(「柿渋袋で廃プラ減」2020年2月28日読売中高生新聞)です。

 

このアイデアは、読売中高生新聞と日本政策金融公庫の「第3回中高生未来創造コンテスト」で募った「SDGsのアイデア」の最優秀賞でした。こういう取り組みがどんどん出てくることを、大人としては期待したい!

 

大事なことは、同じ立場にある、興味が同じ、生活の仕方が似ている、そんな人たちが、その環境の中でアイデアを出し合うことなんじゃないかな。そんなふうに京都の高校生のアイデアを知って、感じました。

 

地球の一員として、SDGsについて、しっかり考え、取り組んでいきたい!

 

【参考記事】

■「プラ削減 世界的流れ」(2018年12月14日 読売中高生新聞)

■スキャナー「脱プラ 日本も本格化」(2019年3月15日 読売・朝刊)

■「プラごみ 輸出停止へ」(2019年5月10日 読売・朝刊)

■「レジ袋有料 全店義務化」(2019年6月4日 読売・朝刊)

■社説「削減に生かしたい国際枠組み」(2019年6月23日 読売・朝刊)

■「セブンおにぎりエコ包装」(2019年6月24日 読売・夕刊)

■「自由貿易の原則明記 海洋プラごみ『50年ゼロ』」(2019年6月30日 読売・朝刊)

■「漁船で廃プラ回収支援」(2019年7月6日 読売・夕刊)

■「世界17の宿題」(2019年7月25日 読売KODOMO新聞)

■「ジュゴン腸にプラごみ」(2019年8月19日 読売・朝刊)

■見る図解「あふれるプラごみ」(2019年9月2日 読売・朝刊)

■「海洋プラごみ調査指針」(2019年9月8日 読売・朝刊)

■18歳の1票《海洋ごみ汚染》「プラスチック大量漂着」(2019年11月2日 読売・朝刊)

■18歳の1票《海洋ごみ汚染》「軽くて丈夫 プラ普及」(2019年11月9日 読売・朝刊)

■18歳の1票《海洋ごみ汚染》「『脱プラ』続けるには」(2019年11月16日 読売・朝刊)

■18歳の1票《海洋ごみ汚染》「美しい海に戻すには」(2019年11月23日 読売・朝刊)

■「イオン、商品の容器再利用」(2019年12月7日 読売・朝刊)

■「東南アジア 脱プラ加速」(2019年12月17日 読売・朝刊)

■「廃プラ削減へ 身近な行動」(2020年1月6日 読売・朝刊)

■壁を越えて3「プラごみ撲滅の戦い」(2020年1月6日 読売・朝刊)

■「世界を結ぶ 17の目標」SDGs未来へ約束(2020年2月9日 読売大阪・朝刊)

■「世界を変える一歩」(2020年2月28日 読売中高生新聞)

 

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(2020年3月 3日 18:25)
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