米・科学技術フェア 入賞のカギは英語の猛特訓

研究発表パネルの前で一般の質問に答える門口さん

学生科学賞上位 門口さんら参加 

 世界最大の高校生科学研究コンテスト「国際学生科学技術フェア(ISEF(アイセフ))」が米ペンシルベニア州ピッツバーグで5月10~15日に開かれ、日本からは13組19人が参加、過去最多の4組5人が優秀賞に選ばれた。昨年開かれた第58回日本学生科学賞(読売新聞社主催、旭化成協賛)で上位入賞した宮城県仙台三高2年の門口(かどぐち)尚広さん(16)は化学部門3等に、愛媛県立長浜高2年の重松夏帆さん(17)と同高2年の山本美歩さん(16)の「チーム・ニモ」が動物科学部門4等に輝いた。世界各国の高校生が研究の成果を披露するISEFでの入賞は、審査員への英語によるスピーチがカギを握った。

 


「とても大きな大会、とんでもないところに...」

 「とても大きな大会でとんでもないところに来てしまったというのがISEFでの最初の思いです」

 「銅箔(どうはく)の色調変化の研究」でISEFの化学部門に出品した門口さんは大会を振り返る。そんな門口さんには心強い先輩がいた。「砂山シミュレーション―揺れによる斜面崩壊」で地球環境科学部門3等に輝いた遠藤意拡(いひろ)さん(17)だ。遠藤さんは読売新聞教育ネットワーク参加校の宮城県仙台二高の3年。

 

 2人は、ISEFの出場資格を得た国内のコンテストも高校も違うが、昨年秋に開かれた県内のコンテストで一緒になり、顔なじみだった。「遠藤さんは中学生の時に日本学生科学賞で結果を出していた人。特にコンテストでの発表の仕方は参考になった」と門口さん。

 

審査員と英語で質疑応答

 ISEFでの発表は英語だ。2人は、入賞できた理由の一つに審査員との質疑応答がうまくいったことを挙げる。門口さんは、今年に入って英会話教室に通い、遠藤さんは、学校の外国語指導助手のイギリス人教師をつかまえては自分の研究について英語で説明を試みたり議論したりした。大会に備えて門口さんは、自分の研究に対する質問を100近く想定して準備をしたという。

 

 ただ、遠藤さんは「想定問答を用意しても答えを暗記しただけでは駄目。その時の審査員との会話が大切」と強調する。例えば、地滑りを英語で「ランドスライド」と表現しても、日本のように山が崩れるような地滑りが多い国とアメリカとでは想像する地滑りの規模が違う。そこをうまく伝える必要がある。
 日本のコンテストでは、研究内容を学問的に追究してくる質問が多いが、ISEFの審査員は、その研究を実用的なものにする際のコストや研究が社会にどう貢献するのかなど、日本では思いもよらなかった質問が来る。「私の研究を見てニュージーランド出身の女性審査員は、御嶽山の噴火の話題まで出してきた」と例を挙げる。

 

 アジアからの参加学生の研究発表の積極性にも驚いた。「中国、台湾、インドネシアからの参加者は、ぐいぐい前に出て自分の研究をアピールしてました」と門口さん。一方、遠藤さんも「中国の学生はネイティブかと思うくらい英語がうまかった」と感心する。

 

 世界の舞台で学ぶことの多かった2人だが「宮城県から2人も入賞者が出たことはうれしい」と素直に喜んでいる。門口さんが所属する仙台三高化学部は、彼の活躍で2年生が1人、1年生が2人入ってきた。
 「研究をみんなで続けて良い結果が出そうな気がします」。2年生になった門口さんは意気込んでいる。

 


 

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主催=読売新聞社

共催=全日本科学教育振興委員会、科学技術振興機構

後援=内閣府、文部科学省、環境省、特許庁

協賛=旭化成

(2015年7月 7日 09:30)
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