やあ、こんにちは。新聞活用学習・NIEのナビゲーター、ヤク先生だよ。きょうは、気になる新聞記事に自分の意見を添えて紹介する新聞コンクールを、就職試験対策に活用している学校を訪ねたよ。
ヤクは、ユーラシア大陸の高地に生息する、ウシの仲間。NIEを通して、これからの社会を生き抜く上で"ヤク"立つ力が子どもたちにつくよう、ヤク先生が応援していきます。
「ビジネスマナー」に新聞活用
東京都北区にある都立赤羽商業高校。来春、廃校になることが決まっている学校で、生徒は3年生だけ。おじゃました日は、課題研究「ビジネスマナー」の授業が始まる前で、教科担当の林敏昭先生が、ここ1か月ぐらいの読売新聞など朝刊6紙がたまった新聞ケースを、教室に運んできたところだったんだ。
2階の廊下に作られている新聞コーナー。一面が並んでいるのは当日朝刊。ケースには過去の新聞 |
過去の新聞を有効活用
都内の公立高校には在京6紙が毎日1部ずつ配られていて、この高校では、毎朝廊下のコーナーに当日の新聞を置くだけじゃなく、古くなった新聞をケースにためておく。気になる記事探しを採り入れている授業などが行われる時、廊下からケースを教室に持ってきて活かしているんだ。
廊下にある新聞コーナーから、古くなった新聞が入ったケースを教室に運んできた林先生 |
検定対策に新聞を読む
授業が始まり、まず、4年前のビジネスコミュニケーション検定試験が配られた。「例えばこの『外国人が増加した主な原因として適切でないものを選びなさい』という問題は、ふだんから新聞を読んでいればできる」と切り出す林先生。そして、日本新聞協会が行う「いっしょに読もう!新聞コンクール」の応募用紙を黒板に貼って生徒に配り始めた。
「新聞の見出しとは?」を説明する林先生 |
10分で記事選び
10分で記事を選び、キーワードをメモ、5分で意見をまとめ、その後はグループで紹介し合う。林先生は手順を示しながら、新聞の見出しとは何かについても説明した。そのあと、生徒たちは教室の前に並べられた新聞ケースから、好きな新聞を取り始め、コンクールに出品する作品作りが始まった。
新聞を手に、気になるニュースを探す生徒たち |
家族や友人の意見も聞く
「いっしょに読もう!新聞コンクール」は、選んだ新聞記事について、まず自分の感想を書いた後、家族や友達とも話し合い、最終的に自分が考えた意見や提言などをまとめるという取り組み。小中高校生らが応募できる。「生徒たちが選んだ記事にはそれぞれの視点があって、作品を作りながら自分の考えを持てるようになる。これが、就活の面接などにも役立っている」と林先生。毎年9月はじめに応募を締め切るから、夏休みの課題には、もってこいだね。
「いっしょに読もう!新聞コンクール」の応募用紙 |
どんなニュース選んだ? 会話はずむ
新聞を取っていない家庭の生徒も多く、初めはとまどっていたけれども、新聞を広げているうちに、「ああ、レジ袋有料化のニュース、知ってる」「LGBTのニュース、気になるね」「サニブラウン、すごいよね」「NBAの八村、やばいよね」などと、あちこちで生徒たちの会話が聞こえてきたよ。旅行会社の広告に、「イタリアに行きたいけど、なんでこんなに値段に幅があるんだろう」って、友達と見入っている子もいたよ。就活対策はもちろん、「友達が、こんなことに興味があったのか、って分かって興味深い」「こんな考え方もあるんだ」って、いろんな発見があるようだったよ。
旅行会社の広告に見入る生徒も |
林 敏昭先生
記事を選んで感想を書き、家族などと意見を交わし、最終的に提言をまとめる新聞コンクールは、文部科学省のいう「主体的・対話的で深い学び」につながる取り組みです。生徒たちが主体的に行動するので、これからNIEを始めたい先生でも取り入れやすく、「ああ、こんなニュースあったんだ」と先生自身の気づきにもなるので、おススメです。
子供たちが気軽に取り組めて、学びも深まる新聞コンクール。NIE初心者の先生でも実践しやすいっていうのも、いいね!
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